日本の司法制度が大きく変わろうとしています。
一言でいえば、「官の司法」から「民の司法」への転換だそうです。
この活動を熱心に推進してきたのが、「市民のための司法」を目指す日本弁護士連合会(日弁連)です。
本書は、その日弁連の視点から、いま進められている司法改革の背景と実態をまとめたものです。しかし、日弁連の主張を前面に出すのではなく、さまざまな立場からの資料や発言を駆使しての、「司法改革」の経過の客観的なドキュメントになっています。著者の評価の押し付けがないので、読み手としては、それぞれの動きや発言を自分で評価することになりますが、そのおかげで、逆に今の日本の法曹界が抱えている問題や改革の方向性がとてもよく見えてきます。
法治国家といわれる現在、司法のあり方は私たちの生活にとって大きな影響を与えます。しかも社会構造の変化により、日本も残念ながら「大きな司法」へと向かいだしていますから、その度合いは今後ますます大きくなるでしょう。「大きな司法」をどう設計していくかによって、社会の未来は大きく変わっていくはずです。
司法の世界は私たち生活者にはなかなかなじみにくく、それゆえに、これまでは専門家の世界と位置づけられてきました。しかし、日弁連が言うように、「市民のための司法」にしていくのであれば、肝心の私たち市民がその気にならなければ、状況は変わりません。
裁判員制度を導入すれば、「市民のための司法」になるわけではありません。
「官の司法から民の司法へ」「市民のための司法」。
それがどういうものか、本書からは必ずしも見えてきませんが、法曹界が目指している司法改革の方向性とその限界は見えてきます。そして「市民のための司法」を考えるための材料はたくさん盛り込まれています。
資料的な記事が多いので、読みづらさはありますが、多くの人たちに読んでほしい本だと思います。