自身の体験に基づく司法制度への批判は熱意にあふれていて、強く共感できるのですが、
実際の改革案となるとそこまで練り上げられていない印象。
司法制度と会計実務との矛盾を分析し、「粉飾決算」概念の明確化を試みるあたりは、
なるほどと感心させられたのですが、そこからはだんだんと抽象論に進んでしまう。
冤罪の背景としての「2つの構造的欠陥」という話は別に経済犯罪に限った話ではなく、
また、「未確立の経済倫理」というのも、必ずしも本書独自の視点ではありません。
あと、法律についての誤解や不正確な用語法が多いのも気になりました。
それによって著者の熱意の価値が失われるわけではないが、
「司法人」への提言である以上、「司法人」の言葉を正確に使わないと、説得力がないでしょう。
最後の提言として、著者は、経済犯罪における冤罪を防ぐための「Forensic(法廷会計学)」の必要性を説くのですが、
その内容は本書の記述だけではよくわかりませんでした。
その辺は、次作以降に期待します。