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右翼は言論の敵か (ちくま新書)
 
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右翼は言論の敵か (ちくま新書) [新書]

鈴木 邦男
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

社会を震撼させるテロ。右翼は「言論の自由」の敵なのか。右翼は自分たちに言論の場がない、だからテロに訴えるのだと主張する。そんな右翼をメディアの側は言論活動の当事者とは認めにくい。そして人々は実態を知らぬまま恐怖心を募らせる―。こうした堂々巡りが何十年も続いてきた。右翼はもともと何を目指していたのか?新右翼の旗頭といわれた著者が、知られざる右翼思想家たち、運動の理想と現実、カネと暴力の実態を論じる。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

鈴木 邦男
1943年福島県生まれ。早稲田大学政経学部卒業。在学中から民族派学生運動に参加、全共闘運動とは激しく対立する。生長の家系の「全国学協」の初代委員長に就任。その後、組織の内紛で運動を離れ、産経新聞社に勤務。72年に「一水会」を結成。新右翼として注目される。99年「一水会」代表を辞任、顧問に。幅広い分野の人たちと交流をもち、様々なテーマで執筆活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 253ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2009/12)
  • ISBN-10: 4480065210
  • ISBN-13: 978-4480065216
  • 発売日: 2009/12
  • 商品の寸法: 17.4 x 11 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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形式:新書
右翼とは言いながら「テロより言論」「愛国心は押し付けてはならない」「左翼と共闘」という姿勢を貫く著者。愛国者は信用できるか (講談社現代新書)ではその主張に共感を得たが、武闘派であった著者がなぜそこまで心変わりしたのかは、あまり詳細に語られていなかった。しかし、本書では、右翼の歴史と関係人物の思想から学んだことや、過去様々な大物右翼から個人的親友までとの交流による体験から、いかにしてそれらが血肉となり吸収され、現在の著者の立ち位置を形つくったかが示されている。そういう意味では、「右翼は言論の敵か」というタイトルより、著者の精神史の著作といえる仕上がりだ。

右翼と左翼は、全くの正反対的主張が続いてきたのか、そうではない。特に戦前の右翼思想は、左翼と相通じる部分があった。貧富の拡大からくる「資本主義批判」、一君万民を理想として推し進める「天皇アナキズム」など、「反共」「親米」の枠にほぼ収まった戦後右翼と真逆だ。もちろん過激なテロが時に横行した事実があるにせよ、こういった思想を「反貧困と右翼思想」とうまいタイトルでまとめている。とそれは同時に、「新右翼」という戦後右翼からの脱却を目指す著者なりの強い愛国心の発露でもある。私もその視点は共感できる。また「運動の延長として暴力も必要と思っているのに、それに慣れると、暴力の行使そのものが楽しくなってくる」や運動のための金集めが、金集めのための運動に逆転するときがあるといった本音を言えるのは、著者ならではと言えるし、なんとなく活動の実態が見えてきて興味深い。

著者にはこれからも多様な角度から、右翼の歴史と人物を取り上げて論じてもらいたい。それは頭ごなしに否定されないための右翼の生き残る道でもあり、思想界全体を活性化させるものであるからだ。
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By crites
形式:新書
 「暴力」や「テロ」ではなく「言論」によって主張する右翼のあり方を模索した本といえようか。著者自身の体験談を豊富に交えながら、いくつかの事件、右翼思想家について論じている。

 まずは数寄屋橋の風物詩だった赤尾敏。街宣車の発明者なのだそうだ。戦後の右翼は戦前の「鬼畜米英」はどこへやら、手のひらを返したように「親米」になってしまったが、これは赤尾を見習ったものらしい。ただし赤尾は戦前から「親米」で、対米戦争に反対して東条英機を批判していたというからすごい。さらに驚くのは、昭和天皇には戦争責任ありという立場だったのだそうだ。

 テロリスト山口二矢は著者と同年齢。三島由紀夫と共に死んだ森田必勝は著者の後輩だった。どちらの事件も著者に大きな衝撃を与え、反省を促している。特に三島と森田の死は、新左翼・新右翼双方に焦りを生んだという。

 このあとは白井為雄、中村武彦、片岡駿、毛呂清輝、影山正治、葦津珍彦、里美岸雄、権藤成卿、橘孝三郎らの思想を、著作から適宜引用しつつ紹介している。彼らにとって「右翼」とは手段でしかなく、単により良い生活・社会を目指して発言し、活動したに過ぎなかった。そこにはもはや右翼も左翼もない――著者はこんなふうに考えているように見える。

 そして最後に野村秋介。言葉を大切にした人として語られているのが印象的である:

「野村に叱られた。「絶対阻止」とか「死守」とかいうんだから「命を賭けるんだな?」という。「できなかったら死ぬんだな?」「じゃ、死んでみろよ」という。言いがかりだ、と思った。でも、口には出せない。「いや、これは我々の意志を強調するスローガンですから」と言い訳して、さらに叱られた。「そんなふうにいいかげんに言葉を使っちゃダメだ」という。確かにその通りで、僕らはグゥの音も出なかった。」

 野村は帯に大きく「遺書」と書かれた最後の著書『さらば群青』を残して自害する。著者は不覚にも、それを予想だにしなかった・・・。

 なかなか良い本だと思う。
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12 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 名無しさん VINE™ メンバー
形式:新書
ここ約100年近くの日本の右翼及びそれと関係する左翼の活動が見事に総覧されている。巻末に文献一覧もついていて便利。本書は学術的にも価値有りといえるだろう。読んでいて素朴に思ったのは、「主張するには直接行動より言論のほうが得かもしれないな」ということ。動機は純粋、国のことを真剣に考える気概もある、好人物、でも結果は殺人、といった場合に、行動だと、つまるところ結果でしか判断されない。行動に至るまでの諸事情は埋もれてしまい、結果としての行動を好きなように裁かれて「犯罪だよね」ということで断罪される・・・これは過去の東京裁判をみても明らかだ。ならば文字に残る形で自らの主張を訴えておいたほうが、恣意的な断罪も最小限に防げるし、100年単位でみたときにより客観的な歴史の審判を受けることも可能だ。たぶん著者はそのお得な点に気づいているから、言論について一家言あるのだろう。
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