「人生と人生の間には川がある。
僕がつねにこっち側で生きているように、
そして茉莉ちゃんがそっち側で生きているように、
ぼくたちはお互いの人生を見ることができないよね。
人間の数だけ岸辺があるんだと思う。
だからぼくはいつも岸辺に立って、
あなたや、会えない家族、友人らのことを思うのです。」
女性視点の『左岸』、
そしてこの『右岸』。
これから読むなら、江國の『左岸』から読むことをお勧め。
でも、男性にはあまり面白みがないかも。
辻の『右岸』は、相当よかった。
登場人物もそれぞれが描いても(たとえば青山志津夫のような共通のサブキャラ)同じ雰囲気をちゃんとまとっていたり、
逆に、
同じ情景を描いていても、見えてくる風景の色合いや空気感が異なっていたりと面白い。
晩年の七に対する九の感情は、
辻の、環境をめぐる世界とメディアに対する警鐘にも感じた。
この「対」の作品を読んでいて、
人って結局こういうものだな、と思った。
全く異なる山中で生まれた一滴の雫たちが、
それぞれ流れになり、出会い、
ひとすじの川となったその両岸に立つ、
そういうことが、奇跡なんだと思う。
人は人の別のストーリィを生きていて、
だからこそすれ違いや葛藤があるけれど、
それを包括して、寄り添い生きてくことがいかに奇跡であるか、
すごく遠回りしながら気づく物語です。