あまり投資に詳しくない者です。紀伊国屋の投資コーナーにて、平積みでオススメとして置かれていました。出版元もそれ程知られていない(ごめんなさい)ですが、書店員がこういう仕掛け方をするのは内容がしっかりしているのかな、と、直感で購入。
結果、大満足でした。読み物として、相当しっかりしたレベルの著作です。読んでいてすぐ気づくのですが、まず伝記的な要素を小説のようにして場面が浮かぶようにして読めるいっぽうで、同時に投資・金融に関するノンフィクションとしての情報記述もしっかりなされているということ。
そのバランスが絶妙なのです。
サブプライム崩壊とCDSの飛躍的な価値の上騰ーポールソンの目標、それまで抱いてきたルサンチマンと人生への賭けが、いかにして結実するか。
それは、オカネの額というより、気概、自分の職業人生への責任なのだということ。そして、同じような大志を抱く人々の苦難と成功、悲喜交々のサブストーリーの卓越した構成が、著者の文章能力、相当時間の取材の苦労を窺わせます。
史実としての役割も考慮され、映画化されても違和感がないくらいのスリリングさで読み進められます。
年末に買いましたが、年始に最後の3分の1を、スターバックスで2時間ほどで一気に読んでしまいました。
投資の知識にもなりますし、最後には、今後アメリカ型資本主義がどのような途をとるべきか、ほとんど哲学的な域での示唆があったところで「物語」は終わります。でも、ポールソンの物語は、まだ終わっていないのですね。なにせ、2010年春までのことが書かれているのですから。
翻訳もこなれており、誤字1つなく、とても読みやすい訳でした。
ただ、あとがきにもあるように、もしかするとこの「バランス」のために、省かれたり、簡略されているようなことも結構あるのかなとはちょっと思いました。
買って全然損しませんでした。投資系の本ではここ最近でダントツのヒットでした。