生き生きとした女性像を描いて大成功したモンゴメリ。
しかし、自身の人生は、牧師である夫から「書くこと」を反対され続け、
家庭に縛られ、抑圧されたものだったという。
1922年、この物語を書き上げた時のモンゴメリは60代も後半にさしかかっていた。
彼女は「やっと書きたい物を書いた」と心から満足したという。
アンブックスを続けたのは、出版社と世間が、
筆を置くことを許さなかったからだとか、実は嫌々書いていただとか、
そういった逸話はアンのファンには少なからずショックを与えるが、
モンゴメリの心情を理解するために、ぜひこちらも読んで欲しい。
女性の苦悩や、アルプスをのぼる者として味わわざるをえない人生の苦さが、
あまざす描かれている。
しかし、より自伝的でありながら、詩情豊かな世界観は損なわれていない。
タイタニック号沈没のニュースに影響を受けていると思われる描写や、
カナダから女性が一人でNYへ進出するなど、
急速に変化していく時代背景が垣間見えるのだが、
結局エミリーは古い農園を離れない。
美しいもの、良きものを愛することをエリザベス調と言いたければ言えばいい、
モンゴメリはこれを強く主張している。