1984年に出版されたものの文庫本として、改めて発刊されました。
内容は題名にもあるとおり、物事の捉え方、考え方をひとつの視点・立場に固定せずにいろいろな見方ができるよう「可変」にしておくのが良い、という主張を自身の体験談を交えて展開しています。
高速道路の立体交差の「影を見ると道がぶつかっているが、3次元で見ると交差しており問題がなくなる」といった例を出して、「何か困難にあたったら、平面には高さを、空間には時間を、というように次元をひとつ足すことで解決できることがある」という話は、わかりやすくなるほどと思います。
そのような主張の中でも教育に関するところで「教育はレベルが低い方に合わせると、全体のレベルが低くなる。子供にとっては少し高めの課題の方が、解決したときに達成感もあり、今後も勉強を続けていくモチベーションになる」という話は、円周率を3とみなした教育が行き詰まりを見せた今だからこそ「なるほど」と感じさせるものがあります。
文章中には、広中先生らしいというよりはステレオタイプの発言もあったりして「おや?」と思うところまありますが、数学を土台にした話や自身の体験談から話されていることは、文句なく説得力があります。
我々が試行錯誤を経験した後だからこそ、あらためて判る部分の多い著作だと思います。