オールカラーで分かりやすく丁寧な解説が付いています。淡交社は茶道関係を始め、古美術関係の書籍も数多く出版しているところで、本書にも同様の質の高さを感じました。
筆者の浦上満氏は、30年以上前に「浦上蒼穹堂を創業。中国、朝鮮半島、日本の古陶磁を主に扱い、他に青銅器、漆器そして浮世絵(主に葛飾北斎)なども取り扱」ってこられた古美術商で、「開業以来、数多くの展覧会を企画・主催」してきたという実績が伺える内容でした。
掲載されている古陶磁の状態もよく、系統だって紹介してありますので、このジャンルについて知りたい、将来は収集したいという方には願ってもない参考書になるでしょう。筆者の関心が中国の陶磁器にあるようで本書の9割方はその紹介でしたので、朝鮮の古陶磁器に関心のある方には少し別の書籍の方が良いと思います。
当方も国内の様々な美術館、博物館で名品と対峙してきました。安宅コレクションで有名な大阪市立東洋陶磁美術館には数多く足を運びましたし、台北の故宮博物院の所蔵する宋、明、清時代の陶磁器の完璧な保存状態とその美しい作品の質の高さにも触れてきました。名品を見ることでその美しさや価値は体感できると思っています。
書籍という媒体の限界はありますが、陶磁器の個性や美しさは十分伝わりますし、歴史的な意味合いなどもしっかりと把握できる内容でした。筆者のお父さんが寄贈されて出来た「山口県立萩美術館・浦上記念館」の名品の数々もしっかりと堪能させてもらいました。ラストの文章で、お父さんのコレクションを寄贈する際の葛藤と思いもよく分かります。もっともそのお蔭で我々は観賞させてもらえるのですが。感謝です。
本書の構成はかなり細目にわたり分類ごとに掲載してありますので、詳細は述べられませんが、概略を少しご参考までに記します。
中国陶磁(中国古陶磁の流れ、古代の土器 陶磁王国の幕開け、漢の鉛釉陶器 副葬品として制作された軟陶、俑 死後の世界を豊かにという願いをこめて、青磁(三国〜隋時代) 青銅器の呪縛からの解放 ほか)、朝鮮陶磁(高麗青磁 12世紀に黄金時代を迎えた独自の青磁、李朝 朝鮮王朝時代の三島・白磁・青花)