スポーツライター金子達仁が書いた元ヤクルト古田敦也の半生記。
いくつかのコンテンツ、とくにインタビューや対談は面白かった。とくに阪神矢野(同じ野村門下生)とのキャッチャー技術論対談、五十嵐石井弘寿の対談はプロ野球ファン必読。ほかに取材に応じてるのは山本昌とか長谷川(元マリナースの)とか高津とか上原とか宮本とか。かっての上司・野村克也と若松勉の発言がないのは残念。ノムさんは本人がコメントを断ったのか古田がいやがったのかわからないけど、両者の現在の関係から考えて仕方ないとして、とくに因縁があったとは思えない若松がまったく登場しないのは不可解だ。
でもそれ以外はちょっと物足りない。古田の内面を深く抉ったりするわけではなく、知られざるエピソードが次々と発掘されるわけでもない。半生記もプロに入る前の話が大半。球界再編騒動の話も出てくるが、いかにも通り一遍のことしか書いてないし、世論が変わる大きなきっかけになったナベツネ発言についてもまったく触れられてない、どころかナベツネの名前すら出てこない。球界再編が読売と西武主導でおこなわれたことも、ほのめかす程度しか書かれていない。もちろん古田が内幕を知らないはずがなく、古田がどこに気を遣っているのか、よくわかる。球界復帰に色気満々のようなので、今の段階であまりチームや野球界の内情をさらけ出せないってことか。
もちろん基本的なトーンは古田礼賛。なので、あまりディープな内容を期待しないで、ファンブックの延長線上ぐらいに考えたほうがいいいかも。