南島研究の道しるべの役を果たしているのが本書である。著者伊波普猷の処女出版で代表作。「琉球人の先祖に就て」は日本古語と琉球語の共通した単語を数多く挙げ、「思うにこれらの言葉は確かに琉球人の祖先が大和民族と手を別ちて南方に移住した頃に有っていた言葉の遺物である」と述べている。(日本文化の南漸論である。チェンバレンは初めて日本語を科学的に研究した人で、琉球諸島は天然の古博物館とも述べている。
「P音考」日本語のハ行子音の古音は、両唇破裂音のPであったが、F音を経て更に音に変化した学説は、伊波が師事した上田万年博士によって発表されたものであった。伊波は琉球方言分布と変遷で証明したのだった。
「オモロ七種」『おもろさうし」の研究は、井波の全ての研究活動の基礎であった。オモロの中に秘められた沖縄古代の歴史、言語、思想を読み解くことが、伊波の沖縄学を内側から支えていたのである。