楽器を弾いているときによく注意されること。「もっと歌って!」「カンタービレに!」・・・でも楽器で歌うってどういうことなんでしょう?それをわかりやすく、丁寧に解説してくれるのがこの本です。タイトルには「古楽」という言葉が入っており、特にバロック期の音楽に関する記述が多いのですが、ここで展開されるアーノンクールの考え方-すべて音楽は様々な背景を持っており、時代様式はもとより演奏時のTPOに合わせた表現方法を取るべきである-は古楽を越えた普遍性を持っています。楽器、特にピアノを習っている人にお勧めしたい本です。意外に思われるかもしませんが、「減衰音しか出せないクラヴィーア(鍵盤楽器)でカンタービレな演奏をするには」という、ピアノレスナーにとって永遠の命題ともいえる難問に対して、この本は明快な回答と示唆を与えてくれます。
「カンタービレ」の意味が作曲年代によって(あるいは作曲家によって)違うなんて、考えたことがありますか?ショパンのメロディを弾くようにバッハを弾いてはいけないし、モーツァルトはその両者とも違う。これは感覚的にはわかります。ではベートーヴェンは?シューベルトはどうでしょう?この本を読めば、そういった問いかけに対する答えも、自分で導き出すことができるようになると思います。
それから、この本を見るとアーノンクールの演奏は異端でもなんでもなく、彼にとっては当たり前のこととして行っているということがよくわかりますので、アーノンクールを知りたい人はぜひ読んでください。
日本語訳が回りくどく、読みにくいのでマイナス1点して☆4つです。