古本関連のブログはあまたあるが、本書の著者のブログは私が日々読むのを楽しみにしているもののひとつである。若い頃から積み重ねてきた読書量もさることながら、この人の文学に対する目には確かなものがある。そこに靱い眼力を感じる。それはブログを読んでいてもわかる。本書の前半にはお気に入りの作家の興味深い話が引用をまじえて綴られている。
しかし本書の後半もまた良い。そこにはおもに著者の日々の生活についての文章が収められている。「煙草」や「主夫業」などについての文章を読むとウンウンと頷いてしまう。また、氏と同年代である私は、自分の年齢のことをここ数年考えるようになったが、例えば次のような言葉は私のなかにもたびたび起こる気持ちを代弁してくれる。
ただしいつのころからか「持ち時間」が「残り時間」にかわる。
三十歳すぎたころから、人生の残り時間ということをかんがえるようになった。
「このままぱっとしないで...」というおもいがしょっちゅう頭をかすめるようになった。いかん、いかん。「今さら」とか「もう手おくれ」というかんがえをふりはらいつつ、なんとかもうすこしマシな人生をおくれるように気持ちの立て直しをはかる。
今もそのくりかえしだ。それが習慣になっている。(「練習と習慣」)
この哀愁は決してクラいものではないとおもう。人生とは何かを成し遂げることなどではなく、何かを成し遂げようとしながらモガくことなのだ、ということを改めて認識させてくれる。折にふれて読み返したい一冊である。