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15 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
稀覯本を通して語られる「ユダヤの民」の歴史,
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レビュー対象商品: 古書の来歴 (単行本)
冒頭の献辞は 「すべての学芸員に捧げる」とあり、ページをめくる指に力が入ります。原題にある「the Book」と言うのは文字通りの「the Book」と解釈すれば「聖書」のこと。作品中で取り上げられているのは「サラエボ・ハガダー」という本で、ユダヤ教徒にとって非常に重要な「過越し祭」の正餐 の際に使う、「出エジプト記」や「式次第」を書いた本らしく広義の「聖書」ということか? 物語は女流古書 鑑定家ハンナが政情不安定なサラエボに降り立ち、世紀の稀覯本サラエボ・ハガダーと出会う場面から始まります。科学的な手法を駆使して鑑定を進める内に判明した様々な 「謎」、その真相を探り、解き明かされた過去の事実からサラエボ・ハガダーを造り護ってきた過去の人々の切実な「物語」が紡ぎ出されていく・・・。7 編の現代におけるハンナの日々、そしてその間に6編の「物語」が挿入されていきます。 サラエボ・ハガダーにまつわる19世紀末以降の記述 は、大まかな点については事実らしいが、それ以前についてはフィクションのようです。エキゾチックとも思える過去の世界の描写と、宗教対立による悲劇の描写が交互に描かれていき、知らず知らずの内にユダヤの民の歴史を学ぶことにもなって興味深く読み進められます。 また、ハ ガダーを巡る人々の欲望や無私の行為、過去から延々と続くユダヤ人の悲劇などかなり硬派な部分と、父親を知らず、仕事一筋の母親を嫌うハンナの私生活や恋の 行方も描かれていき、結末では暖かな「家族」の「発見」や「再生」も描かれて穏やかに終わります。 本にまつわる謎を解くという内容なので「歴史ミステリ」と言うにはちょっと物足りない面もありますが、サラエ ボ・ハガダーを、単なる高価な稀覯本ではなくユダヤ民族の拠り所と思う人々が、虚々実々の駆け引きの末に命懸けで護り通したという過去の「事実」を描いた内容は、単なる「小説」を超えた意義をこの本に与えていると思います。
10 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
あらすじだけで、ゾクゾクする,
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レビュー対象商品: 古書の来歴 (単行本)
ちょっと予想していた内容とは違ったんだけど、ヒストリカル・ミステリとして十二分に楽しめた。修復の過程でハンナが見つけた謎。蝶の羽、今はない留め金の痕跡、ワインの浸み、塩の結晶、白い毛……古書は500年もの間、どのような旅をしてきたのか? そして、ハガダーとしては珍しい細密画を描かれた理由は? 無論、ハンナはそのサンプルから推測と想像しかできない。しかし、我らはその旅を遡ることが出来る。 そこに現れるのは、ユダヤ迫害の歴史、命を賭けて本を守ろうとする精神、帰属する場所の発見…… 戦火・破壊に追われながらも、運と人々の献身によって現代まで生き延びた一冊の書物。それを通じて、500年の時を隔てた二人の女性が自分の居場所を見つけ、邂逅する一瞬は感動的。 ここに出てくるサラエボ・ハガダーは実在していて、ネットでその画像を見ながら読むのも楽しい。 また『古書修復の愉しみ』『西洋製本図鑑』あたりを副読本とすると何をやっているのかイメージしやすいかも。
6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
サラエボ・ハガダーとは何?,
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レビュー対象商品: 古書の来歴 (単行本)
こういうテーマが好きなので★がアップしました。「サラエボ・ハガダー」と聞いて、ピンとくる方は、興味のある方かな?私は、全く、分からなかったが、古書という言葉の響きから、何かとてつもない重みのあるものかと想像した。 宗教感は日本人にはわかりにくい。というか宗教に対して、私が無知なのか?寛容なのか?わからないが、世界では宗教の違いで、残念ながら、戦いは当たり前にさえなっている。 かつてのサラエボには、ネオ・ゴシック様式の大聖堂があり、シナゴーグやモスクが並んでいる。キリスト教、ユダヤ教、イスラム教が混在している街を中心とした物語で、500年前に作られた「サラエボ・ハガダー」を古書保存修復家のハンナが、1996年のサラエボを舞台を出発として、修復をするというストリーの中、読者は別の世界に誘われていく。 それが、古書の来歴を追う物語の始まりである。
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