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5つ星のうち 4.0
現地・現物・現場,
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レビュー対象商品: 古文書返却の旅―戦後史学史の一齣 (中公新書) (新書)
期間を過ぎて長期間借用していた古文書を返却する旅を通じて、筆者の歴史や社会の観念的な理解が現実的な理解へと変わっていく様が描かれていました。
筆者のような社会や歴史に対する慧眼の持ち主も、こうした現地・現物の地道な調査を通じて知見を深められたことがわかり、現場の大切さというものを改めて認識しました。 古文書を通じて現実の社会像を残そうという意思が筆者の訪れる旧家の方々にも見られ、古文書があたかも社会の実像を後世に伝えるDNAのように思えてきました。 筆者の情熱や方法論が垣間見える筆者の他著作の「あとがき」的好著でした。
5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
故網野教授のナマの声をどうぞ,
By chikugetu (仙台) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 古文書返却の旅―戦後史学史の一齣 (中公新書) (新書)
網野教授の本には,対談集が大変多く,それはそれでナマの声の記録ではあるのですが。しかし,研究者としての日常を振り返った網野教授のナマの声を読むのなら,この本こそをお薦めします。 「研究」のために借り出してそのままになっていた古文書を,一つ一つ供養するかのように返却して歩いた(必ずしも網野教授自身が借りたのではないにもかかわらず)さまは,研究者としての懺悔の旅でもあったように見えます。 「戦後史学史の一齣」という副題が示すように,民俗学と歴史学の接点を独自の感性で生き抜いた学者の足跡をドキュメンタリーとして味わうのに格好の新書本です。
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5つ星のうち 5.0
網野史学の形成過程,
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レビュー対象商品: 古文書返却の旅―戦後史学史の一齣 (中公新書) (新書)
1950年から1955年にかけて東海区水産研究所月島分室にて日本常民文化研究所の一員として全国各地の漁村の古文書を蒐集していた網野氏。しかし月島分室解体、水産庁水産資料館への移管、月島分室の代表者であった宇野脩平氏の死去といったゴタゴタの中で、借用していた古文書のうち少なからぬものが返却されぬまま放置されてしまった。網野氏は月島分室時代の後始末をする必要を感じ、1980年、神奈川大学に異動し、日本常民文化研究所を招致、文書の返却作業に取りかかる……
史料調査・整理・保存のあり方を考える上で貴重な実例紹介であることはもちろんだが、現地における文書伝来の実態、返却作業の過程で網野氏が得た新たな学問的発見(海民世界の豊穣)なども提示され、日本史を捉え直す意味でも勉強になる。 また、古文書を借用して回った若き日の思い出と、古文書返却の旅が共に語られることで、網野氏の学問的軌跡、歴史学者としての成長が明瞭に浮かび上がる。そして本書で網野氏が強い筆致で述べる、目先の利益のみを追い求めた高度経済成長期以降の土木工事によって「湖川や海の世界」が破壊されていくことへの憤りは、氏の歴史観の根底を成すものであり、「網野史学」を正確に理解する上でも必読の文献であろう。 網野氏の誠実な返却行脚を通じて、返却先と新たな交流が生まれ、新史料が発掘される、という部分も感動的。
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