受験用古典文法に納得のいかない現役高校生、または胸のつかえがとれないままになっている大学生にお勧めの1冊です。
古典文法をうまく教えられる先生はほとんどいません。受験技術としての、なら、何人かはいるでしょう。
でもそれで大学に入ったとして「実は受験技術しか教えられてこなかったんだな」と気づいたら、そこからこんどは自分にとっての知の体系を作り直さなければならない。大変な思いをします。
で、やっぱり大学にもいい先生っていうのはなかなかいないんですね。ものごとを体系として教えるってことは対象が何であれ難しい。とくに古典文法はいろんな事情で難しいです。
大野先生は大まかにいっても日本語の歴史を縦糸、教育を横糸、としたフィールドをもっている。これが体系です。体系がしっかりしているからその上に乗った古典文法の説明も安定している。
体系があって、日本語の勘どころは古来「てにをは」、助詞、活用のしないもの、らしい、という鮮やかな切り口があれば、あとはもうどこからどう読んでもなるほど、と納得させられます。受験文法は枝葉末節に過ぎない。原理的考察と理解が先にあって、受験技術は本来、その次にあるべきものです。
急がば回れ、といいますが、この本は、急ぐ必要がない。ゆっくり、ひとつずつ理解していって、気づいたら「てにをは」「係り結び」「が」と「は」の違いといったことが頭にすうっと入るようにできています。