長江文明についての最新の知見を得られる事を期待して買った。
しかし、実際に長江文明に直接繋がりうる知見は少ない。多くの箇所がそれ以外の時代(1万5千年以上前)や直接関係のない離れた地域の事項を扱っている。
古代日本のルーツとタイトルするからには、長江文明と現代苗族、古代日本についての直接の類似性を数多く挙げ、その他の文化文明にはない独自性の強いものとして述べる必要がある。しかし、類似性として挙げられているのは数点のみで、具体的で説得力のある他文明との比較も乏しい。他の類書の方がもっと多く述べられている。
で、結論が「美と慈悲の文明」ときた。文字と金属器を持たず、他文明に追いやられた事が、なぜそのような評価に繋がるのか。
それに西洋文明や黄河文明その流れを引く現代文明へのステレオタイプな評価が対極に置かれ、まるまる一章を費やしている。そういう浅い現代・西洋批判は必要なく見苦しい。たんなるページ数稼ぎにしてももっと他のやり方はあるだろう。
久々に買って損したと思った書籍である。