この書を読むと律令国家以前の日本列島における人々の暮らしと支配の様子がよくわかる。
多くの人々は漠然と国家とは何かについて考えたことがあると思う。著者は考古学の成果を充分取り入れながら日本(この地)におけるその「国家」の成立について興味深い叙述を展開しながら6章の「日本列島に国家はいつ成立したか」に結びつけていく。
かつて高校で学んだ日本史の知識と比較しながら読んでいくと学問上の成果と自分の思考が関連づけられて知的な刺激を受ける。倉庫が建ち並ぶ様子から租税の徴収があったと推測し、王の住居遺跡の状況から王の支配の様子も語られる。
6章で著者の見解がまとめられている。そこには戦争下での空襲体験や苦難を経験した母親の言葉「国は信用ならない、日の丸をみるのもいや」が原体験として記されている。一方EUなどに触れつつ現代のゆらぎがみえる国家というものを考えていきたいと述べている。
著者の姿勢に共感をもちつつ新しい知識が整理されて示されているので非常に面白く読めた。