世界各国の歴史教科書を大きく分類すると、ヒストリー型、プロパガンダ型、ファンタジー型の三つに大別できるそうです。アメリカの某大学の東アジア諸国の教科書を分類によると、日本の教科書は淡々と事実を記載し加飾の少ないヒストリー型で、中国のそれはプロパガンダ型で、韓国の教科書はファンタジー型だそうです・・・何となくうなずける分類だと思います。
さて、本書の帯には「『古事記』に綴られなかった真実の歴史がここにある」とあるが、まあ、そんなことは無い・・・ファンタジー小説としか言いようが無い。
辰韓の製鉄技術者集団が弓矢で戦闘シーンするシーンが多くある。
中国の歴史書によると辰韓の民は秦の亡民であるとしている。物語が出雲文化の花開いた弥生時代中期後半とすると、秦から前漢の頃である。この時代以前の中国の戦闘の鏃には『鉄鋳物』で作られた大量生産品が使われていた。秦の亡民なら当然この技術を使っていた・・・しかしこのファンタジー小説には、たたら製鉄の他、何も書かれていない。
ちなみに鋳造法は鉄にリン酸塩を投入する融点降下法ですよ。時代が下った日本では、鉄の薄板を小分けする製法もあるが、この時代にはそんなものは無い。たたら製鉄の鉄の塊をどうすれば大量の鏃に出来るというのだろう。
なんだこれ・・と思ったのは、『稲葉の素兎』が強姦物語になっていたこと・・その記述にオウヤ(青谷)の近くで、海女らしい女性集団が出てくるが、夏泊の海女のイメージらしいが、海女漁はずっと後の時代のことだ。調査不足ですね。いちいち書かないが突っ込みどころ満載ですね。
まあ『真実の歴史』を期待しなければ、そこそこのファンタジー小説ということでしょう。