急性水銀中毒は、水俣病を初め日本人にはなじみが深い。しかし、慢性の水銀中毒がどのようなものかは、医師や歯科医師も知らない人が多いのではないか。開業医の私も、最近までまったく知識がなかった。数十年間徐々に進行する筋肉痛、関節痛、睡眠障害、集中力の低下、睡眠障害に悩まされていた著者は、アマルガム除去によって回復した。水銀中毒によって、記憶力障害・慢性疲労・全身筋肉痛・うつ・アルツハイマー病・自閉症などがおこることも、ほとんど知られていない。このような症状で、医療機関を訪れても、どこも異常ないとか、加齢のせいにされている人も多いはず。
本書は水銀中毒に関して、入手可能な情報を網羅している。また、DMPSやDMSAなど日本では入手できない薬剤の情報も詳しい。しかし、両者は副作用も強く、専門家の管理下で行うべきである。日本では、マグロ・キンメダイなど魚類の水銀汚染も深刻である。しかし、日本で従来行われてきたEDTAによるキレート療法は、慢性水銀中毒には効果がない。安全な治療法を求める人にとって、本書は貴重な資料となると思う。
検査法では、毛髪ミネラル検査を無効としているが、分析法を知らないためと思われる。詳しく知りたい方は、Andrew Hall Cutlerの本を一読ください。