仕事をして生活をしていて、被害にあったり、争いごとに巻き込まれたり、家庭内や親族間で問題があったり、嘆きや怒りの種は多いが、、鬱陶しい事は出来るだけ避けたいもの。本書は、著者の45年間の弁護士活動で取り扱った個人の「事件」実例を30話紹介しながら、各話の最後に「他山の石」として反省点、注意事項、提言等々指導してくれる。30話の内容は幅広く、葬式、遺言、遺産相続から、婚約破棄、商売のごまかし、不動産取引、生前贈与、弁護士のミス、隣家との争いごと、カゴ抜け詐欺、振り込め詐欺、自白と調書、サラ金地獄等々と、身近にあり得るリスクばかりだ。「定年前−50代サラリーマン危機管理マニュアル」(朝日新聞社刊)も面白いが、本書も読みやすく為になる。思わぬ債務を背負い込むマイナス財産の相続、土地建物の所有権移転についてのトラブルは、特に気を付けねばとはっとさせられた。
本書の著者である清水直弁護士のことは、ある会社で顧問契約を締結した弁護士から、師匠であるとして名前と実績はよく聞いていて興味があった。大変な苦労人だが不撓不屈の精神で、夜間高校から中央大/法に進み、卒業年に司法試験合格という方だ。日本で有数の企業再建・再生弁護士として著名な案件に活躍をしている。その一方で斯様な身近な弁護士活動の書を読み更に興味を覚えた。法曹界には苦労人でも弁護士活動の中で悪事に加担し、私腹を肥やし、司法修習時の初心を忘れたヤメ検などがいるが、人間味のあるこの師匠弁護士には頭が下がる。正に真の「正義の味方」として今後も身近な弁護士活動を続けて頂きたいと願う。