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34 人中、33人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
過ちを正すのに、遅すぎることはない,
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レビュー対象商品: 反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書) (新書)
年末に第8回「大佛次郎論壇賞」を受賞したので、これを契機に読んでみた。昨今、日本社会の中において、貧困層の広がりが指摘されて久しい。 本書では、現代の貧困の原因を著者独自の観点から探っている。 ネットカフェ難民や、ホームレスの厳しい現実を書き連ねただけの、扇情的な部分ばかり目立つ類書とは一線を画している。 私なりに要約すると、およそ次のようになる。 まず、貧困の原因だが。 貧困化は決して自己責任ではないこと。 平均的な生活から貧困へ至る間に、社会的な滑り止めがないこと。 雇用調整などの名目で、労働力の非正社員化を進めた企業と、容認した政策が問題であること。 こうした現状は、日本社会そのものの貧困化であるということ。 では、どのような解決策があるのか。 貧困の克服は、“人々の支え合いの強化” “社会連帯の強化”“公的セーフティネットの強化”を通じて果たされる。 それを目指すことが著者の活動だという。 簡単だが以上のようなものだ。 著者は、東大の大学院出身だ。 敷かれたレールの上を歩んでいれば、貧困の対極にある勝ち組の人であったはずだ。 著者の活動の源泉はいったいどこにあるのだろうか。 おそらく、社会への“正義”であり、“怒り”でもあろう。 最後の著者の言葉が印象的であった。 「過ちを正すのに、遅すぎることはない。」
229 人中、208人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
クールでホットな市民的行動への誘いの書,
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レビュー対象商品: 反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書) (新書)
貧困はつねに隠されている。その存在は誰にとっても都合が悪いものだからだ。筆者は日本における貧困層の存在を、豊富な統計的なデータを援用しつつ、自らの支援経験もそれに重ね合わせながら、冷静かつ客観的に明らかにしていく。こうした説明によってこれまで見えなかった貧困問題が見えるようになった私は、まさに蒙を啓かれる思いがした。 しかしそれだけなら「学者」にもできる。筆者の強みは社会からはじき出された人たちのさまざまな声に、ずっと耳を傾けてきた貴重な体験にこそある。それゆえ、この本で紹介されている多くの人たちの発言には、筆者の熱い思いが同時に込められることになり、単なる事例紹介を超えたある種の感動を与えるものになっている。 最後の部分で筆者は、すぐにこの本が古びてしまうという代償を払って、反貧困運動の現状分析を試みている。それは日本の反貧困運動がまだスタートラインにすら達しておらず、いま多くの人たち(つまり、読者たち!)が自分にもできる市民的行動をしなければ、こうした運動自体が雲散霧消してしまうという危機感によるもののように思われる。 強度の大きい橋は、最も弱い部分が補強されているものである。つまり筆者の言う「強い社会」を目指すのであれば、最も弱い人たちをその周りの人々が支えなければならないはずなのである。こうしたいわば当たり前の認識が欠如した社会には、たとえそれがどんなに経済的に豊かだと言われていたとしても、個人的には住みたくはない。この本を読んで、私は素直にそう思った。
52 人中、48人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
読みやすいが重いテーマの本,
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レビュー対象商品: 反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書) (新書)
「貧困の最大の特徴は『見えない』ことであり、そして貧困の最大の敵は『無関心』」だという巻末の言葉がずしりと響きました。本書の前半では、貧困から脱したくてもできない"すべり台社会"の状況が「見え」てきます。それを救うための生活保護や最低賃金などのセーフティーネットからも抜け落ちざるを得ない人々の状況がわかります。さらに"溜め"がないために自助努力のきっかけが掴めない現状にも納得しました。 また後半ではそのセーフティーネットを機能させるための筆者らの取り組みが伺えます。マスコミが機能し、政治家を動かすことで、まだまだ不十分なものの「関心」が生まれていく過程が見えます。 自分自身が給与所得者であるため、見えていなかった世界を具体的に示してくれた本でした。でも結構、読後感は重いものです。
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