年末に第8回「大佛次郎論壇賞」を受賞したので、これを契機に読んでみた。
昨今、日本社会の中において、貧困層の広がりが指摘されて久しい。
本書では、現代の貧困の原因を著者独自の観点から探っている。
ネットカフェ難民や、ホームレスの厳しい現実を書き連ねただけの、扇情的な部分ばかり目立つ類書とは一線を画している。
私なりに要約すると、およそ次のようになる。
まず、貧困の原因だが。
貧困化は決して自己責任ではないこと。
平均的な生活から貧困へ至る間に、社会的な滑り止めがないこと。
雇用調整などの名目で、労働力の非正社員化を進めた企業と、容認した政策が問題であること。
こうした現状は、日本社会そのものの貧困化であるということ。
では、どのような解決策があるのか。
貧困の克服は、“人々の支え合いの強化”
“社会連帯の強化”“公的セーフティネットの強化”を通じて果たされる。
それを目指すことが著者の活動だという。
簡単だが以上のようなものだ。
著者は、東大の大学院出身だ。
敷かれたレールの上を歩んでいれば、貧困の対極にある勝ち組の人であったはずだ。
著者の活動の源泉はいったいどこにあるのだろうか。
おそらく、社会への“正義”であり、“怒り”でもあろう。
最後の著者の言葉が印象的であった。
「過ちを正すのに、遅すぎることはない。」