タイトル通り反社会学講座という感じになっています。世間にはびこる社会学は学問を修めていない一般大衆に対して反論を許さず一段上の位置から、という形をとっています。それに対して著者は違うと論じるのです。
また、現代の社会学に対して声を大にして、社会学と言う学問の絶対性に対して異を唱えるパオロ氏のイメージ像であろう表紙の絵は見事です。一読した後にもう一度みると書いた人は流石プロという感じを尚更受けます。
まずは社会学がどのように成されて(捏造されて)いるのか、から始まり本来高尚とされていたはず(?)の学問がいかにご都合主義的であったり個人の身勝手な感情から沸き起こってくるのかが分かります。その上で現代の学者や情報の中枢を握る一握りの人間の身勝手で超悲観的な社会学は問題である。社会学は学者にしか出来ない高尚な存在ではなく雑学としてのエンターテイメント性が重要である説きます。
また途中では世間にはびこる俗説にメスを、というよりバッサリと斬っていく過程も見ものです。統計マジックの見破り方(複数回答の罠であったり、時代によって数のカウントの仕方が違ったりなど)や行政の委員会の報告書の作成方法についてなど根拠をもって反論するアプローチ方法がしっかりと書かれている所(ここでは議事録に目を通し、委員会の人選のリサーチなど)を通し物を切り口様々に見る事が出来ます。
そして、「反」社会学とありますが、議論は批判だけに終わらず筆者の建設的な意見もユニークで面白さと説得力を持っています。文章の論理構造は単純という訳ではないのですが、社会学の大衆化を叫ぶ筆者だけあって通して読みやすい良書となっていると思います。
本書は2004年にソフトカバーとして出版されていたものを文庫化したものですが「3年目の補講」という形で補足があるので、文庫本の方もそろえてみても悪くないかもしれません。