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5つ星のうち 5.0
1989年の革命前のチェコは、日本にそっくり。,
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レビュー対象商品: 反政治のすすめ (単行本)
ヴィロード革命後、チェコ大統領となった劇作家である著者が、投獄を恐れず当局に進言したり、評論したりした文の数々が収められている良書です。プラハの春でソ連に占拠されてからのチェコの全体主義のクウキが日本そっくりであることに驚愕しました。小生の印象に残った点は以下です。 ・反政治とは、「権力獲得のために主張するのではなく、自分が自分であるために信じることを言うこと」(そのために投獄されても) ・「崇高な理想のために」というストーリーのために、数百人を犠牲にするという功利主義/全体主義は、歴史上何度も繰り返されてきた。ただし、チェコでは、プラハの春の鎮圧と共にそれも無くなり、ストーリーは役人の自己保身のためのお経に過ぎなくなった。逆らえば、投獄されるので国民もノロノロと従うだけ。 ・権力は、自分の存続のためだけに法よりも優先され、主体性や多様性は追放される。権力者も自由ではなく、何かに支配されている。大きな慣性と言える。 ・各人が各人らしく自分で考えて行動することが禁じられれば、予定調和の灰色の世界になる。計画通り物事は“進んだこと”になり、予測できない事件は何も“起こらなかった”ことになる。本当の時間や歴史(人間の工夫と失敗の記録)は、存在しなくなる。 ・牢獄の中の方が、娑婆より自主性があり個性がある。 ・権力は、主体性や多様性を抹殺した挙げ句に現実に合わなくなり、最期には権力自身も抹殺することになる。 ・良心に沿って、提言するのはドンキホーテのようだが、それがついには世の中を動かす。 ・この体制がソ連崩壊などで終わるとしても、新しいストーリーやユートピアを信じすぎてはいけない。いろいろな問題を一度に解決して、人生の苦悩を解消する方法は無い。"生"/生活に根ざした本物の声によって、ストーリーが柔軟に修正できるようにしなければ、同じ過ちを繰り返す。 自分らしい発言で懲役4年半の実刑判決が確定し、劇が上演禁止になり、服役しつつも、トップに対してドンキホーテのように真摯な提言を続けた著者の主張は、説得力があります。戦艦大和のように既定路線を変えずカタストロフィーに向かう日本は、まさにクウキに支配されて、自主性/多様性を捨てた革命前のチェコを、自分を写す鏡として見る必要が今あるように思います。これだけたくさん線を引きたくなった本は今までにありませんでした。
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