シリーズものの常で、だんだんとマンネリ化したり筆力が落ちてきたりと作家の力量を維持するのは並大抵のことではないはず。いわゆる特殊部隊ものの常連ライターの一人というか双璧?ともいうべき作者の翻訳最新作は、どこかで聞いたような設定。過去に犯した過ちから人生の落伍者となり、アル中のホームレス生活を送る主人公が幼い頃に生き別れた娘との出会いに触発され、また因縁の敵味方との偶然の出会いによって再び自分を取り戻すチャンスに巡り会う。と、なんかプログラムピクチャーの脚本を地でいくようなストーリーですが、テレビの脚本等もこなすベテラン作家として腕を磨いた作者の絶妙な職人技は伝統的な英国冒険小説の継承者の一人として充分な資格ありと言えるのではないでしょうか。これをご都合主義と片づけてしまうのは簡単ですが、経験を積んだ元軍人の誇りと悲哀がそこここに現れて、大人が読んでもうーんとうなってしまう面白作品になっています。