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私の読んだ野沢作品はミステリが多く、序盤に大きな事件が起こって、そこから最後まで全力疾走というスピード感溢れる作品が殆どだったのだが、この作品は全く毛色が異なる。事件と言っても、序盤は散発的なちょっとしたトラブルばかりだし、それだけで一気に・・・ということもない。ただ、それらの細かな事件をきっかけに名倉への信頼が強くなり、薫平らが成長していく姿がしっかりと描かれ、最後の大事件へと少しずつ加速していく。登場人物それぞれの心理がしっかり描かれていて、心地よく読み進めることができた。
はっきり言って、現代の無気力な若者が、昔気質の大人に触れ、反発しながらも成長するだなんて、古典的も良いところである。が、そんな古典的な題材でありながらも全く古さを感じずに料理している、というのは、著者の筆力以外の何者でもあるまい。
面白かった。
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