タイトルだけ見ると、中台関係の本かと感じるが、主眼は複数政党制以降の台湾政党政治。加えて経済や日台関係も論じた。新書ながら、見通しの効いた説明で今世紀の台湾政治を把握することができる。複数政党制以後、2度の選挙による政権交代を経たことで、台湾は民主主義を完全に確立した反面、民進党のシンボルカラーの緑、同じく国民党の青になぞらえた、緑と青の対立が深刻になりつつある。従来言われてきたことだが、民進党はアイデンティティは南部・本省人、国民党は北部・外省人と、寄って立つアイデンティティの相違もあるだけに、理屈で解決するのは容易ではない。
実は、陳総統の時代、議会の多数派は国民党だった、だから、陳総統の提案を通すと言うのは至難の業だった。陳水扁の8年で彼の熱願した新憲法、中国政策は多く変わることはなかったが、結局それは、少数与党の議会でにことごとく却下されたことも大きい。馬総統は国民党だから、大統領と議会のねじれはなくなり、安定するのではないか。