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外部の人間を拒む芸術家の村・木更村に迷い込んだ麻里亜を連れ戻して欲しいと彼女の父親に頼まれ、四国のド山奥にやってきたアリス一行だが、折しも大雨で橋が流され、マリアと江神、アリスらは木更村と麓の村、川の両側に分断されてしまう。しかもその両方で殺人事件が起き、互いに全く連絡の取れない中で、江神は一人、そして江神のいないアリスらはそれぞれ真相を探り始める。
アリスとはビミョウな関係のマリア、そのマリアを気遣うアリスのやきもき感が切なく、また、女嫌いの江神先輩も前作の心の傷を残すマリアには兄のように接するのも彼の意外なやさしさが見えてこちらもせつない。
大掛かりな舞台設定で話も長いが、トリックそのものは前作よりもわかりやすかったと思う。しかし、どうも犯人は動機よりも先にトリックが浮かんだのではないか、と思えるほど、動機自体はいささか弱いような気もする。
なお、このアリス&江神シリーズは現在3作で中断しているが、作者あとがきによればあと2作が既に(ずっと)用意されており、5部作になるらしい。もう一つのシリーズ、作家アリス&火村も好きだが、火村に比べれば家族構成や生い立ちもわかっている江神のシリーズがどんな結末を迎えるのか、やはり早く知りたい。
夏休みの自由な空気といい、大学生という、まだ純粋に生きられた時代といい、(昨今は「スーフリ」などという、大学生の皮をかぶったチンピラが横行してますが)なにか、きゅんと切なくなる一冊である。日本美術界の胡散臭さやほこり臭さはそのままに、なんだか、自分が大学生にもどったかの錯覚を起こしてしまう。このあと、英都大学推理研究会の面々はどうなったのかな。友人を思うような気分になります。作者は本当に「描ける」ひとだとおもいます。どうなったのかなあ、みんな。
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