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極貧からヤクザになり、遂には自殺でその一生を終える友と大学教授となって生き永らえる彼との友情を辿る物語である。学者である西部氏の著作だからといって、なにも評論や思想本として読む必要も無く、どちらかと言えば、私には小説のように思われた。
勿論、彼一流の考え方や人生の処し方は、随所に盛り込まれている。しかし、どうもそんな部分は「友情」にたいする照れのようなものであり、むしろヤクザである親友とのかけがえのない歴史を語るための音楽であるかのように、私には思えた。
この著作が実話であろうがフィクションであろうが、私にはいっこうに構わない。ただ、書かれたものがそこにあるだけ、というのがすべての著作に与えられた、この上ない自由と前提であるとすれば、私は上質で、深く心に浸透してくる「友情の顛末」と「時代」との軋みを読んだという読後感に満たされ、なにか、とてもよく出来た小説を読み終えたのだ。
西部氏よりはひとまわりほど若い世代である私は、この一冊を読み終えるまでに、幾度と無く涙を流し、そのたびに、最終章のどこかに「神」の登場を予想したのであったが、「神」はついに登場しなかった。彼の著作を、もう少し読んでみるかと、思った次第である。
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