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友情
 
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友情 [単行本]

西部 邁
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (13件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

北辺の地に生い立ち、行動面での八九三の世界に入った友と、思想面での八九三の端くれとなった私。二人の交友が四十五年にも及んだ秋、友は憤怒と絶望の余り、自ら命を裁つ。誇りと共に、厖大な手記を私に託して…。BC級戦争犯罪の廉で処刑された朝鮮人の父と、家族のため苦界に身を沈めた母との間に生れ、半日本人奴と呼ばれた男。私が出会った数多くの人物の中でも最も感動に値する男。その友と私が、愁い顔の騎士よろしく刃むかい通して生きた「時代」―敗戦期からバブルの破裂以後に至るまで―を思い出し感じとり、深々と考えぬく自伝的長篇評論。

内容(「MARC」データベースより)

君が自分の友を誇りに思えるように-。そう言い残して自裁した男との交友を軸に、二人が刃むかい通して生きた敗戦から現在に至る「時代」を深々と考えぬく、自伝的長篇評論。

登録情報

  • 単行本: 253ページ
  • 出版社: 新潮社 (2005/4/27)
  • ISBN-10: 4103675047
  • ISBN-13: 978-4103675044
  • 発売日: 2005/4/27
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.8 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (13件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 418,801位 (本のベストセラーを見る)
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By sirou55 トップ500レビュアー
形式:単行本
著者が65歳になって自分の死期を察する、もしくは死期の眼をもって自分を眺めるようになったとき、中学時代からの友人から送られてきた膨大な量の原稿用紙に13年ぶりに立ち向かう気力が生まれた。著者は友人とあの時代、あの時代の札幌や北海道を語ることによって自らの過去を振り返り、自分と友人との交友が何であったのかを明らかにしようとする。

中学二年のときに知り合った彼とは空腹仲間であったのだが、道内最上位の名門高校に揃って進学すると同じクラスに彼もいた。二人は一年間不思議なくらい勉強して、その1年が終わる頃には高校3年分を粗方終えていたほどであった。高校二年になっても二人は同じクラスだったが、彼は空腹に耐えて勉強する気力を失って次第に荒廃していき、ついには退学する。著者も妹を交通事故に遭わせてしまった出来事をきっかけに自閉した高校生活を送る。

彼はやくざの世界にまい進し、著者は学生運動で名を馳せたが、その後彼はヒロポン中毒と暴力沙汰の連続の生活から刑務所暮らしを、著者は東大教授を辞めて評論家の道を選択する。最後に彼はやくざの面子を貫き通して、任侠に反することなしには生きられぬとなれば死んでみせることしかないと自死の道を選んだ。著者は本の最後に彼に成り代わって手記を完成させる。

著者は彼のことを自分が会ってきた厖大な数の人々のうちで、最も感動に値する人物の一人だったといい、自らをあの高校時代の変な少年のまま、東京という「文化なき文明」の地で、うろうろと死に場所を求めて35年を過ごしてきただけの人間にすぎないと告白する。

読み終わった後に重い寂寥感と静かな胸にしみる感動の余韻を感じた。
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33 人中、31人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
読み終えるまでに落涙数回。
「センチメンタルジャーニー」に次いで著者の本は2冊目。ヤクザとして自殺した友への一冊分量の弔辞、ともいえるこの本を読み終えて、西部邁の思想の最良の部分が、要は、おとこぎ(侠気)へのこだわりにあるのだ、と思わせられた。
著者の他の理論書は読んでないが、その長く考えてきたことが思想としてホンモノであることを、ゴミのように生き、死んだ一友人に捧げたこの一冊が証明している、のではないか。虚飾ない洞察がちりばめられたまっとうな人間論である。
このレビューは参考になりましたか?
17 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
初めて読んだ西部氏の著作。TVでの彼の姿をこそ知らなかった私が、何故、彼の著作を読んだかといえば、新聞書評にあった「ヤクザと学者の・・・」という奇妙な取り合わせの一行と、TVでの西部氏のイメージとのギャップからだった。西部氏の著作名に共通してみられる、ある種、紋切り型のタイトルの典型でもある「友情」にも興味を持ったのが発端という気軽な動機とは裏腹に、一気呵成に読了した。

極貧からヤクザになり、遂には自殺でその一生を終える友と大学教授となって生き永らえる彼との友情を辿る物語である。学者である西部氏の著作だからといって、なにも評論や思想本として読む必要も無く、どちらかと言えば、私には小説のように思われた。

勿論、彼一流の考え方や人生の処し方は、随所に盛り込まれている。しかし、どうもそんな部分は「友情」にたいする照れのようなものであり、むしろヤクザである親友とのかけがえのない歴史を語るための音楽であるかのように、私には思えた。

この著作が実話であろうがフィクションであろうが、私にはいっこうに構わない。ただ、書かれたものがそこにあるだけ、というのがすべての著作に与えられた、この上ない自由と前提であるとすれば、私は上質で、深く心に浸透してくる「友情の顛末」と「時代」との軋みを読んだという読後感に満たされ、なにか、とてもよく出来た小説を読み終えたのだ。

西部氏よりはひとまわりほど若い世代である私は、この一冊を読み終えるまでに、幾度と無く涙を流し、そのたびに、最終章のどこかに「神」の登場を予想したのであったが、「神」はついに登場しなかった。彼の著作を、もう少し読んでみるかと、思った次第である。

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