白樺派の小説を読んだのはこの作品が初めてだった。そんな予備知識のない僕でも十分に楽しむことが出来た。以下、自分なりの感想を書いてみたい。
まず、登場人物たちの求道的な、自らが価値あると信じたもの(恋や芸術)に魂を捧げる、強く、爽やかな生き方に感銘を受けた。
文章が新鮮で、瑞々しく、現代の純文学のような「肥大化したエゴの有様を生々しく書いていく」といった、グロテスクさからは隔絶したものを感じた。こういう明るく、健全な小説を読むのも偶には好いものだ。
現代を生きる多くの人が感じているだろう、疲弊感・閉塞感・徒労感といったマイナスの感情からも、この小説を読むことでカタルシスを得て、一瞬、開放されるのではないうだろうか?
そんなことを思わせる力のある小説である。