佐野さんが、幼年時代から大人の現在までを、友だちを中心に振り返った対談集。もともと子ども向けの『ちくまプリマーブックス』だったらしいが、佐野さんの意見は、世間体や平均値的なものからややズレているので、異質に聞こえるかもしれない。でも、本音で話す大人、子どもにこびない大人は意外に少ないから、真意は子どもにもよく伝わると思う。
たとえば、「親は敵なんだから」中学生くらいになると秘密は言えない、というのは、自分のことを考えても当然だ。「子どものころ、無意味なことがすごく重大だった」「でも、教育っていうのはそういうむだをうばわなければ成立しないのかなあ」との発言もさすが。
ところが、息子さんの話になると、「あなた、だめだ。……子ばなれ出来てない」と相方T氏にいわれ、取り乱すところが人間臭い。そのT氏に、「すごくいい友だちくさん持っていて、ぼくなんか劣等感持っているよ」とまで言わしめた佐野さん。でも、2010年11月5日、日本からは、本音で語ってくれる大人が、また一人いなくなってしまった……。