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又蔵の火 (文春文庫)
 
 

又蔵の火 (文春文庫) [文庫]

藤沢 周平
5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

同族あい打つ悽愴無残な復讐劇の一部始終を描いて衝撃をあたえた表題の歴史中篇小説をはじめ、この作家初期の秀作短篇「帰郷」「塞子無宿」「割れた月」など五篇収録
--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

一族の面汚しとして死んだ放蕩者の兄のため、理不尽ともいえる仇討ちを甥に挑む又蔵。鮮烈かつ哀切極まる決闘場面の感動が語り継がれる表題作の他、島帰りの男と彼を慕う娘との束の間の幸せを描いた「割れた月」など「主人公たちは、いずれも暗い宿命のようなものに背中を押されて生き、あるいは死ぬ」と作者が語った初期の名品集。

登録情報

  • 文庫: 346ページ
  • 出版社: 文藝春秋; 新装版 (2006/04)
  • ISBN-10: 4167192403
  • ISBN-13: 978-4167192402
  • 発売日: 2006/04
  • 商品の寸法: 15 x 10.8 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 88,943位 (本のベストセラーを見る)
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
藤沢作品の初期の短編集。特に、「又蔵の火」に関しては、『藤沢周平 ―負を生きる物語― 高橋敏夫著(集英社新書)』で、絶賛されていた。
主人公を取り巻く闇、そしてその闇に生き、死んでいく彼ら・・・・。

人生は、自分でどうしようもできない方向へ流れて行くこともある。何がどう転ぶのかわからないもの・・・・。彼らは、決して歴史の表舞台に華々しく出るような人ではなく、地味な人間であるが、そこには人知れずドラマがあるのだ。最近は、環境のせいか、サクセスストーリーよりも、このような負の面を描く物語を好んで読むようになったと気付く。自分が乗っているときには、サクセスストーリーも良いけれど、そればっかりではない。
表題の「又蔵の火」は、歴史上の実話がもとになっているそうだ。

地味で、輝かしい「勝ち組」の人ではないが、彼が命を燃やす仇討ち、それを淡々と描いている。その死闘の描写は、読んでて息苦しくなるようなほど。人の評判だけでは、人間白黒はつかないもの、屈折する心にもどこか切ないわけがある。
その他の話も、全話が渡世人の物語で、闇・負というイメージが強い。

けど、その中で心にそっと触れられるような人情物語で、みんな最後は死に至るが、その描写が何とも切ない・・・・。

このレビューは参考になりましたか?
5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 紫陽花 VINE™ メンバー
形式:文庫|Amazonが確認した購入
作者の初期の短編集。直木賞受賞前後の作品だが、非情と暗さが漂う短編集となった。

タイトル作「又蔵の火」は中編と言って良い分量で、放蕩の末に脱藩し、挙句の果てには親族に討たれた兄の仇を討とうとする又蔵の姿を冷徹に描く。庄内地方に残存している文献をベースに書いたかと思う程、リアリスティックな描写が胸に迫る。兄の放蕩の理由は一切説明されない。又蔵も兄には批判的なのだが、"兄の一分"を通したいと考えている。そして、兄の死を知った時、又蔵の心に"火"がつくのである。軍鶏の闘いと又蔵の闘争心を重層的に描く場面が唯一の作為的手法と言え、後は記録文学風の写実に徹した描写が非情な運命を浮き彫りにする。「帰郷」は親分の罪を被って故郷を捨て、今では人生も捨てている昔気質の老渡世人の宇之吉がフト起こした里心が起こす人間模様を描いたもの。宇之吉の出奔後に生まれた娘がいて、しかもその娘にかつての仇兄が横恋慕していると言う設定の中、宇之吉の心にも"火"がつく。宇之吉と娘を中心とした陰影に富んだ人物描写と木目細かい自然描写が荒涼とした物語を一段と深い味わいにしている。「賽子無宿」は江戸に舞い戻った情に篤いイカサマ壷振師のドンキホーテ的言動が、現実と乖離している様を非情に描いたもの。しかし、壷振師(=作者)の気合いが空回りし過ぎていて、物語に浸れない。「割れた月」は島帰りの男が、更生の志を持ちながら転落行く様を描いたものだが、余りにも定型通りで頂けない。「恐喝」は恵まれぬ過去を持つヤクザの意外な義理堅さを描いたものだが心に響くものがない。後半三作は主人公もストーリーも代わり映えがしなく、作者の工夫不足は否めない。

後年の硬軟自在の筆運びを知っている身としては、「暗くて硬い」方向に傾き過ぎた感があるが、初期の実直な作風を味わえる短編集。
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By グズグジ VINE™ メンバー
形式:文庫
 全ての短篇の結末は絶望的なもので、主人公も一筋縄ではいかない人間ばかりだ。実話と言う「又蔵の火」にしても、兄のあだ討ちの理由に納得いかず、主人公にいまいち感情移入できなかった。
 ただ、彼らが最後に見せる人間らしい部分には共感を覚えるし、それは後期の藤沢作品まで共通するところだと思う。また、作品の持つリアリティーは高く、「又蔵の火」以外の作品も実話かと思わせるほどだった。
 とは言え、読後感は重く暗いもので、万人にお勧めできるものではない。自分も、読み終えてすぐ次の短篇を読みたいとは思わなかった。
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