立法過程において、参議院の影響力を認める「強い参議院」論と、衆議院の二番煎じに過ぎないという「カーボンコピー」論という先行研究を外観した上で、筆者は「強い参議院」論を支持する。
しかしながら、先行研究が、ある一時期の政治状況や、国会内の審議過程に偏った根拠から導き出されていることを批判し、本書は、戦後政治史のほぼすべての期間を分析すると同時に、国会外での交渉過程をも視角に入れた、非常に説得力のある議論となっている(特に1989年を境とした、政党別法案賛成率の表は秀逸)。
福田政権以降、衆参の「ねじれ」が批判されて久しいが、その「ねじれ」を選択したのは有権者自身であり、その選択を煽ったのはマスコミである。表面上の政局(小生は、何をもって政治と政局の違いとしているのかは甚だ疑問だが・・・)だけをあげつらい、政策過程を冷静に見つめようとしない風潮に対して、大きな警鐘を鳴らしているともいえる。
現代の政治学をふまえつつ、現実の政治史と見事にシンクロさせている意味で、一般にも読まれるべき大著である。