知る人ぞ知る、喫茶マニア(?)の集う「喫茶室ルノアール」で、昼間から時間を潰している「私」(=せきしろ)。客や店員の様子を観察するうちに、「私」は妄想をどんどん暴走させ、まったく異次元の世界に没入してゆく……。
その凄まじいまでの観察眼と想像力と腰砕けになるほどのヤル気のなさに、思わず誰もが脱力。時代を反映するキャッチーな固有名詞をちりばめ、昨今の風俗や流行を見事に脱構築した、まったく新しいスタイルのエッセイ、いわば「無気力文学の金字塔」である。
(本書は月刊誌『relax』で2000年2月号から2004年10月号まで4年以上に渡り連載されていた「今月のルノアール」に修正、書き下ろしを加えたものです)
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11 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
職人の神,
By たかはし "たかはし" (日本) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 去年ルノアールで (単行本)
バカサイを含めた古くからの「せきしろ」を知る人にとっては後半が好きで、そうでない人は前半が好きかと思われる。ただし、前半に収録されている加筆部分は後半好きな私にも嬉しい。とにかく、「バカサイの人」「ルノアールの人」「紙プロの人」「構成作家の人」等、彼に持つイメージの数だけ評価がいろいろとありそうな一冊。
5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
電車の中で読んではいけません,
By
レビュー対象商品: 去年ルノアールで (単行本)
ルノアールという可もなく不可もない普通の喫茶店を舞台にした異色エッセイ。1話1話が短いのでサラッと読めるのも利点だし、その短い話の中に、思わず吹き出してしまうほどの笑いのツボがたくさん散りばめられているので、部屋の中でひとりで読むことをすすめます。 出だしから読者をルノアールの奇妙な世界へグイグイ引き込んでいく、その文章力もさすが。 こんなふうに日常を見ることができる筆者をうらやましく思います。
17 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
つい繰り返し読んでしまう妙な本。,
By
レビュー対象商品: 去年ルノアールで (単行本)
日がな一日「ルノアール」なる昭和の香り漂う「銀座な雰囲気」の喫茶店で暇を潰す筆者が、店や客の様子を観察しながら現実と妄想の間をユラユラと漂う・・・という特殊エッセイ集。笑った。ハマった。問答無用(と書いて“バリバリ”もしくは“吐いたツバ飲まんとけよ”と読む←意味は本を読めば解る)に面白い。筆者は「SPA!」の「バカサイ」でもお馴染みのライター。「笑い」に長けた人物ゆえにツボは心得ているのかもしれない。しかし、意外や意外(と言っては失礼だが)、感心したのは筆者の達者な筆運び。これが妙に心地よく、イッキに1〜2時間で読了してしまうのに、何度でも読み返したくなってしまうのだ。帯に「無気力文学の金字塔」とあるが言い得て妙とはこのこと。何十回読み返してみたところで、読者を無気力にさせるだけで何の得にもならない。しかし、気づけば、風呂に、トイレに、枕元に、ついついこの本を持参しては適当なページを開きそこからまた読みふけってしまう。ハマったというより筆者の罠にハメられているのだろう。私は地方在住者のため、東京近郊にチェーン展開されているらしきこの喫茶店の実態についてはよくは知らない。しかし、繰り返し読むうちにいつしか私もこの店の常連になってしまった。営業中のサラリーマンが昼寝をし、アニマル柄の派手なセーターを着こなした中年女性が集い、店の奥では何かの勧誘が行われていて、入り口には「限りなく村上龍に近い」店長が立ってる。いつか東京へ行くことがあれば訪れてみたい。そして、忘れずにこの本を持参したい。
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