「厭(いや)な小説」。厭(いや)な気分を味あわせてくれるエンタテインメント(?)。
まず、装丁(そうてい)が厭です。
古本屋でたまーに見掛ける古書を再現したかのような装丁。
日にやけ、雨に曝(さら)され、油が染(し)みつき、折り目が罅(ひび)割れた状態。
ところどころ紙が破れ、鞄(かばん)に入れて持ち歩いたかのごとく、端端(はしばし)が摺(す)り切れています。消えてしまった題名を、古本屋自らが書き直して店頭に並べたかのような表紙。
巻頭、巻中、巻末に蚊の死骸(しがい)が挟まれ、奥付に検印が貼られ、あまつさえ百字書評付き (いまどき!)
ページ数は見開き奥 (ノド近く)に印刷されて見にくいし、紙質悪いし、黴(か)びてるし、シミが凄いし。
といっても、以上は全部印刷したものなんですが。
凄ーく無駄なこだわり。
このネタの塊のような凝った装丁のおかげで、思わず手に取ってしまいます。
各編ごとに主人公は変わりますが、厭な事が横溢 (おういつ)する日常は変わりません。あまりにも出てくるイヤな事が多すぎて笑っちゃう部分もあるかもしれません。
ですが、日常でこれに近い状況にある人は、場合によっては落ち込むかもしれない。
その状況から逃げられない、という話ですから。
各話の最後に、主人公が現状打破を試みてくれるだけいいかもですが。
私的には「厭な子供」が一番面白いです。小ネタが利いてると思った。
最後の篇「厭な小説」に出てくる「猿屋」の小説家はひょっとして…!
ああ、しかし。厭だ嫌だイヤダ。