所謂“原発反対派”は昔から居ます。ですが世の中常にそうだったように,いつも“多数決”の原理で,それらが少数意見として無視されてきたのです。
私はどちらかというと多数決には黙って従う方で,この風潮を特に問題だとは思っておりませんでした。然るに著者広瀬氏の言い分を聞くと,それが大きな間違いだったことに気付かされました。
つまり,原発の様に危険極まりないものは,多数決で進めてはならないのです。
原発初期には世の中のマジョリティーは少なくとも何もわからない状態であり,一部の“専門家”だけが“少しわかる”状態でその中に賛成派と反対派がいるのだと思います。そして大抵の場合はその“良くわかる者”でなく,自分や自分の属する団体にとって有利に働くと思う大企業が“よくわかる者”の内の賛成派を仲間に入れて推進します。
独裁国家でもない限り大抵の場合こうやるしかなくて,大抵の場合はこれで良いのだと思います。然るに原発はこれではいけなかったのです。
今冷静に考えれば,仮に1000年前の地震だとしても,その地震で10mの津波の記録が有るとしたら,6mの津波を想定した堤防で原発を作ってはいけないのです。そう思いませんか?おそらく建設当時もそれを指摘した方はいたはずです。でも“少数意見”であり“お金がかかりすぎる”として退けられたのです。
原発は,ひとたび事故が起こると当事者だけでなく周辺,いや全世界に,取り返しのつかない悪影響を,長期間に渡って及ぼします。このようなものを推進する場合は,正に“想定できる全ての事態が起きても大丈夫”と確信できるまで対策して初めて推進できるのであり,そのためには推進派よりもむしろ反対派,慎重派の意見を重視しなければいけません。
他の大抵のことは,ここまで考えなくても''経済性”からの判断を重視して進めても,あまり大きな問題にはならないかもしれませんが,原発だけはそれではだめだったのです。
このように私はこの本で,“原発の危うさ”もさることながら,“多数決の危うさ”も認識させていただいたのが収穫でした。
そして,是非“推進派”の方々のこれに対する反論を聞かせて欲しいと思います。