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原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―
 
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原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語― [単行本]

安冨 歩
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (47件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 1,680 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容紹介

福島第一原発事故に大きな衝撃を受けた著者は、その後の国や東京電力の対応、そして一般の人々のふるまいに唖然とする。いったい原発で何が起こっているのか、事故はどの程度のものなのか。放射能はどこまで広がったのか。いっこうに情報が出てこない。枝野官房長官は「ただちに影響はありません」を繰り返すばかり。多くの人たちは、放射能がまき散らされたのを知っても、パニックにもならず、以前と変わらぬ生活を送っているように見える。いったいこれはどうしてなんだ!そこから著者が感じたのは、現代日本人と原発との関係は、戦前の日本人と戦争との関係によく似ているということ。勝ち目のない戦争を続け、原爆を投下されてもなお戦争をやめることのできなかった戦前の日本と同様の何かがあるのではないか。そう感じ、そのような視点で日本社会を眺めてみると、そこに共通して浮かび上がってきたのは欺瞞的な言語体系だった。

社会が暴走を始めるとき、きまって言葉の空転が起こるというのは、著者がこれまでの研究で確信していることで、今回の福島第一原発事故でも同様に、欺瞞的な言葉があふれだした。そもそも、欺瞞的言語は、原子力を推進する側が多用してきたものであり、原子力は安全と言い換えられ、事故は起こらないとされ、それを私たちが信じてきた結果、今回の事故が起こったのだ。あれほどの事故後も、その欺瞞的言語は使われ続けた。

その欺瞞的言語体系の代表が「東大話法」である。もう二度とあのような事故を繰り返さないためには、欺瞞的言語と決別しなければならない。そのような問題意識のもとで、著者が欺瞞に満ち溢れたと思われる原発をめぐっての言説を取り上げ、徹底解析。御用学者の発言や東大話法を駆使する池田信夫氏のブログを検証し、欺瞞的言語の悪質性を明らかにするとともに、欺瞞的言語を生みだす日本社会の構造を明らかにする。

著者について

1963年大阪府生まれ。京都大学大学院経済学研究科修士課程修了。京都大学人文科学研究所助手、ロンドン大学政治経済学校(LSE)滞在研究員、名古屋大学情報文化学部助教授、東京大学大学院総合文化研究科・情報学環助教授を経て、東京大学東洋文化研究所准教授、2009年より同教授。博士(経済学)。著書に、『「満洲国」の金融』『貨幣の複雑性』(以上、創文社)、『複雑さを生きる』(岩波書店)、『ハラスメントは連鎖する』(共著、光文社新書)、『生きるための経済学』(NHKブックス)ほか。

登録情報

  • 単行本: 276ページ
  • 出版社: 明石書店 (2012/1/7)
  • 言語 日本語, 日本語
  • ISBN-10: 4750335169
  • ISBN-13: 978-4750335162
  • 発売日: 2012/1/7
  • 商品パッケージの寸法: 18.8 x 13 x 3 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (47件のカスタマーレビュー)
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カスタマーレビュー

最も参考になったカスタマーレビュー
47 人中、43人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By レイ
Amazon.co.jpで購入済み
池田信夫ブログの読者です。
しかしあるときから違和感を覚えました。
学者にありがちですが人を見下す表現でした。
それでも経済学的真理を述べるならばと思っていましたが、原発関連の話はどうも腑に落ちませんでした。
テレビに出演されて詭弁を弄していた東大工学部の教授と重なる気がしました。
どこまでもポジショントークなんです。
しかも「AだったとしたらBだ」のAについての吟味があまりに稚拙かなと。
そこが一番重要なのに。
また池田さんは行動経済学を切るにしても、まだ端緒についたばかりなのに、
いろいろな困難な点をあげて、切ってしまう。それって学問をめざすひとの心構えとしてどうなんだろうと。
専門家だから仕方ないのですが、しかし、本来学問とは専門家としての立場を常にずらし続け、
場合によっては小室直樹のように横断的に様々な学問分野をも視野に入れないと新しい地平は開けないと思うのです。
(頭がいいと自負するならば、自らの立場や生活の安定ではなく、
心理学や工学を学部・修士から勉強するくらいの気構えがないと)
ちなみに著者は当初、池田さんと一緒にサイトを立ち上げるメンバーだったようですが、
議論がかみ合わず離れたようです。

またわが業界の頭がいいといわれる方が書かれた文書は、まったくソツがないけど、まったく面白味も実効性もないと感じていました。
(著者が感じていたことそのままです)
わが業界の会議にでても議論らしい議論になりません。
定義は薄っぺら(「名をただす」は非常に重要だと思います。安全委員会?→規制委員会でしょう 事象→事故でしょう)、
古典的な論理学程度の思考もなく(帰納、演繹、対偶・・・)、
一部の該博な人が議論を進め、知識がないとわかると馬鹿にする。
それが立場のあるひとだと自らの怠惰と無責任のためのお追従がはじまる。
まったく原発の議論と同じで背筋が寒くなりました。
わが業界も高度な専門家と呼称(揶揄?)されますが、
あまりに知的議論のレベルが低すぎると思っていましたが、それは東大でも同じだったとは。

・良心なき悪意
・絶妙なバランス感覚
・超高速度処理能力
と書かれてあり、東大理学部の友達が昔、研究室で感じていた感想と一致しています。
そこで東大工学部卒の大学研究者である友達にこのフレーズをみせると、
「昔からだよ。僕も東大にいたころはそれをしていたと思う」
「東大の教員はなぜこうなる?」
「全部ではないがやはり競争がないから。官僚からも企業からもヨイショされる。しかも何をしても失敗がない(いままではなかった)。宇宙工学ならば想定外のアクシデントはロケットが落ちて明確に失敗がわかる。原子力はそれがない。あれはひどい」
友人は暗い顔をして答えてくれましたが、こちらまで底なしの暗い気持ちになりました。

この本の書名はスノッブかもしれませんが、日本の精神的な分野からの見直しを進めるためには避けて通れない話だと思います。
誰しも生活に忙しく、勢い、門外の難しい話はその分野の専門家に委ねざるを得ません。
しかし、その専門家が今のままでは・・・日本は
この日本は精神的な内部からも崩壊するリスクがあると思わざるを得ません。
誰しもが自分の立場を離れて、しかし当事者として予見やタブーなき議論を進めなければ、
弱者としてのホモサピエンス日本人は自然や世界のなかで自滅します。
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326 人中、285人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 無責任な言説にだまされないために 2012/1/20
霞ヶ関文書ともよばれるような政策文書や審議会議事録等を読んできた私にとって、何か変だな、と引っかかっていることがありました。それは、なぜ、原子力政策を立案している人々がかくも無責任で、傍観者的なのであろうか、ということです。また、決定的な出来事や反論があっても、まるで何ごともなかったかのように、従前と同じように事が進んでいくのは、どうしてなのだろうか、と疑問に思っていました。

こうした場面は極めて多く、そのたびになんとも言えない気分を味わっていました。

安冨氏は、この本の中で、原子力に関連する様々な論説を分析し、無責任な言説がどのように展開されるのかを詳しく述べています。その分析ツールとなるのが、「東大話法」です。私は、この本の分析によって、長年の疑問が解けました。

「東大話法」というのは、あくまで話法を総称した名称です。安冨氏自身が述べていますが、東大出身者であっても「東大話法」を使わない人もいますし、その逆もいます。しかし、東大出身者および東大内部にそのような言説が多いというのは、安冨氏自身が、東大教員として内部で実感しているようです。

ではなぜ、こと東大で、「東大話法」が使われるのか。

「東京大学という権威を利用すると、それは非常に効果的であって、多くの人をだまくらかせるのであり、そういう経験を積むことによって、東大関係者は自信満々となり、ますます東大話法に磨きをかける、という循環関係になっています。」(pp.191-2)

と安冨氏は明快に述べています。この指摘は痛快であり、極めて鋭い。

このような権威に依拠した言説にだまされないためには、どうしたらよいのでしょうか。「東大話法」のやり口を知り、自らがそれを使わないことだ、と安冨氏は言います。

「必要なことは、「東大話法」に代表されるような、日本社会に蔓延する欺瞞話法を鋭く見抜くことです。・・(中略) 個々の人が、自らの中の「東大話法」を見出して取り除くことに努力せねばならず、そうすることではじめて、他人の欺瞞もみぬけるようになります。自分は欺瞞話法を駆使しつつ、他人の欺瞞話法を見抜くというのは無理な相談だからです。」(p.192)

「東大話法」を知ることは、「東大話法」を自らが使用しないためにも必要です。例えば、「「誤解を恐れずに言えば」と言って嘘をつく」のは東大話法規則9に該当します。このような言い方をして、無茶苦茶なことを言った経験がありませんか?

「東大話法」で分析対象となっているのは、大橋弘忠氏、香山リカ氏、東大大学院工学研究科、池田信夫氏、鈴木篤之氏の言説です。また、斑目春樹氏(原子力安全委員会委員長)、近藤駿介氏(原子力委員会委員長)、鈴木達治郎氏(同代理)についても、安冨氏はその傍観者性を批判しています。

なお、この本は、「東大話法」そのものの他に、経済学への批判的見解、エントロピー論、地球温暖化に対する見解なども含まれています。評者とは見解を異にするところもあります。ですが、かといってこの本の価値が失われるわけでは決してありません。なにより、「東大話法」を定式化した安冨氏の努力は高く評価されるべきでしょう。

全体を通して、叙述の仕方は平易です。原子力村=ショッカー、小出裕章氏=仮面ライダーとたとえるなど、感覚的にわかりやすい表現を採用しています。現代社会に生きる私達にとって必読と言えるでしょう。
このレビューは参考になりましたか?
90 人中、76人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By たつなり トップ500レビュアー
原発危機をひとつのとっかかりとして、欺瞞なり詭弁なり、もっといえば
サブタイトルにあるような傍観者の論理であったり、著者のリストでは、
20にわたる東大話法の規則を原子力村の権威の文章を引用して
存分に論じた一冊で、感心して通読しました。

何よりも自身が東大に職を得ておられるのに、このような
痛烈な批判の書をものし、舌鋒にはいささかの緩みもないのに
偉ぶったところがないのです。
感情の爆発ともいえるところは私の気づいた限りでは一カ所くらいで
きわめて辛辣かつ適切な論争を重ねておられました。

生きた論争の教科書として広く読まれることを。
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