原発の恐ろしさは、身にしみているが、原発廃止により、日本が経済破綻するなら、原発を維持せざるをえない。それゆえ、緊急の課題は、原発がなくとも日本経済は大丈夫かということである。この側面からのアプローチに最も適した専門家は経済学者であると考え本書を読んだ。
本書は、原発は効率的か、代替エネルギーで電力は大丈夫か、電力の転換はどうすすめるか、電力転換によって経済成長をとげられるのか という四つの課題からなっている。
私が特に知りたかったのは、経済水準を落さずに代替エネルギーで電力需要を賄えるのかという点である。
著者は大丈夫という。クリーンエネルギーへの橋渡しを火力発電に負わせれば問題ないという。火力発電のコストや環境問題を考慮した上での主張になっている。この問題だけでなく本書は、数字の裏づけがあるので大変説得的である。
それでも、液化天然ガスによる火力発電でよしとする著者の主張には、実効性に若干疑問があった。しかし、都が8月2日に原発1基に相当する液化天然ガスによる発電所建設構想を発表したところを見ると、著者の主張はきわめて現実的な解決策だとあらためて納得した。
長くなるので筆を置くが、送発電分離、デフレとの関連など経済に関連する問題はすべて扱われている。原発の非効率性など啓発されることも多かった。経済的側面から原発問題を知りたい人には薦めたい