今回の事件で興味を持ち、購入。
原子力発電の(1)世界的な状況、(2)日本での停滞、(3)日本の原子力政策の不条理 について述べられています。
いずれも具体的数字を出して、論理的に話を進めています。
例えば(1)について、原発は1970-80年代に盛んに作られたが、チェルノブイリ事故以降は建設が停滞していることですとか、欧米諸国では停滞している一方で、新興国では建設計画が進んでいることが語られます。
(2)では日本には54基の原発があり、世界で第3位の総設備容量になるが、その利用率は欧米と比べると著しく劣ることや、日本が進めるプルサーマルのコストが非常に高くつくこと、などが語られます。一方で、なぜプルサーマルや高速増殖炉を開発してきたのかも述べられています。
(3)では日本の原発は手厚い政府の保護の下で行われていたこと、具体的な金銭的支援についても言及されています。よく言われている「原子力発電は温暖化対策になる」という言葉の矛盾についても語られています。すなわち、原子力発電を縮小しつつある欧米諸国で温暖化ガス排出が減少しているのに、(原子力発電を推進する)日本ではむしろ増えているということです。
私も「原子力発電は温室効果ガスを減らすための切り札」と信じていました。しかし、この本を読んで、むしろ原子力発電所は縮小すべき考えるようになりました。
本は薄く簡単に読めて、値段も安いです。議論も平易でわかりやすいです。一読する価値のある本だと思います。