放射能の危険性について冷静かつ誠実に語っている勝川俊雄・准教授と比較して余りに誘導的・恣意的な論の展開で情けなくなった。同じ東大卒でもこれほど違うものだ(しかも年下に完敗)。セラフィールド周辺で出ているデータすら知らないのか。
『日本の魚は大丈夫か』勝川俊雄著者が本当に原子力を理解しているなら、福島第一の事故で「一人も死んでいない」などと愚かな断定はできない筈だ。大島堅一氏等が指摘されているように、原発労働者の被曝レベルはもう既に未知の領域に入っている。人生の汚点となりかねない妄言は慎むべき。水俣病の際に有機水銀説を否定し汚名を残した東工大教授を忘れたのか。
『原発のコスト』大島堅一10年以上前に「脱原発が最も経済性に優れる」と断定した吉岡斉・九州大副学長や、「原子力の安全コストが急激に高まっている」と指摘した飯田哲也氏に対しいまだに著者は何ら有効な反論ができていない。「海溝に放射性廃棄物を捨てるのが合理的」と放言するに至っては、国際法を無視したロシアと同レベル。地質学者が激怒するだろう。
スペインの失敗例を強調するのも意図的であり、デンマークやスウェーデン等が再生可能エネルギーで低炭素と経済成長を両立していること位は調べればすぐ判明する。原子力に投入されている補助金が太陽光発電の補助金よりも遥かに高いことすら書いておらず、事実認識がそもそも誤っている。あと数年で低コスト塗布型や高変換効率の新型太陽電池が実用化されることは確実であり、著者は面目丸潰れとなろう。出力2倍の新型風車も現在実証実験中でありイノベーションは原子力より数段速い。
『北欧のエネルギーデモクラシー』飯田哲也天然ガスについてはほぼ石井彰氏の受け売り、目新しい点は皆無。最もエネルギー効率が高いのがホンダのガスコージェネなのも、合理的な欧州の木質バイオマスコージェネも知らないらしい。また、欧州で煮え湯を飲まされたロシアが簡単にパイプライン敷設を日本に許す訳がなく、国際関係史も理解してない。安全保障を言うなら供給リスクの高い原子力を減らし純国産の風力や太陽光で分散を図るのが理の当然。
最後に、ピークロード対策に価格メカニズムを用いる案は震災直後に鈴木亘・学習院大教授が提唱されており著者は半年以上遅い。また、大口顧客にはすぐ適用できるのを何故書かないのか。
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