古代は卑弥呼から現代の宜保愛子まで、日本のいかなる霊能者がいかなる社会背景のもと
いかなる事を行ってきたのか概観する書名の通り「霊能史」の講座である。
と学会の本ということで中身を見ずに忌避される方もいるかもしれないが
決して霊能者を全面否定したり揶揄するようのものではなく、
文化的な側面から捉えた本邦の霊能者の歴史を客観的に通観している。
教科書的な日本史の背後を支えて続けてきた精神史・宗教史も見渡すことができるので
歴史に関心がある人にもお勧めできる。
構成は口語体で2人が問いかけ・説明する形式なので、論文のような堅苦しさや難解さは無く
素人でも容易に読み進めることができる。
宗教史や日本史の年表、重要な概念の図示が要所にあるのも分かりやすくて良い。
残念なのは取り扱う範囲が広すぎたせいか近代以降の記述が全般的に薄いところ。
個人的には近代以降の霊能者に関心があったので、分冊にするなりフォントを小さくするなり
して、もう少し分厚い内容が欲しかった。
特に昨今隆盛しているスピリチュアリズムブームに関するまとまった文章が無いのは残念。
次作があるならその辺りに期待。
小池壮彦の「心霊写真 不思議をめぐる事件史」(宝島文庫)を併読すると
近代以降の日本人の心霊観がどの様に変遷したのか理解が深まるのでお勧め。