ユダヤ教、キリスト教、イスラームという三大一神教の一線の研究家が各パートを受け持って、各々の立場から原理主義を解読してくれるお徳用な新書である。これ一冊読めば、原理主義の何たるかが分かった気になれる。執筆者3名にアメリカ宗教史の森孝一氏を加えた座談会で、原理主義の問題点を洗い出してから各論に移るという構成も門外漢には有り難い。分厚さもそうだけど、新書を超えた容量が詰まっている。
“腑に落ちやすい「答え」を提供するために、イスラーム原理主義という言葉はじつに都合がよいのだ”という嘆きがあるけど、研究者からしたら「何でも原理主義かよ?」って事なんだろうね、反省反省。大多数の日本人は「宗教」分かってないもんね。3つの一神教のうち最も多いキリスト教徒でさえ1%未満って日本じゃ確かに“一神教のリアリティは日常生活のなかでは、きわめて希薄である”。日本は“「多神教=善」という図式が、何の分析もされずに成り立ってしまっている”って指摘があるんだけど、実はそこまでも至ってなくて、多くの日本人は「多神教」って自覚すら無いんじゃないかな。まさに「無神教」。だからって一神教っていう「もう一つの世界」に思いを巡らせる想像力は、待ったなしで必要だとは思う。だって、キリスト教徒21億人、ムスリム13億人、ユダヤ教徒1400万人、ってんだもんなぁ。そりゃ他人事じゃいられない。しかし、キリスト教一つ取ったって、アメリカじゃ進化論、中絶反対の福音派ってのが全人口の40%も居て、さらに福音派の中のブッシュの支持基盤、キリスト教原理主義者(宗教右派)ってのが全人口の15〜18%もいるってんだからさ。アメリカの内実もキリスト教の影響力も、日本人ってまったく理解できてない訳で。
日本の天皇制も平和主義も一種の原理主義ではないか、って考察にはガツンとやられるし、原理主義が急に身近に感じられるようになるよね。