本書によれば、「米国人は世界で最も卑劣で残酷な人種だ」と米国MBSの
ブランビー記者に対し、被爆直後の海軍医が語ったと言う。つまり同記者は
広島の惨状を眼の前にして、この批判に対し、なんら反論することができな
かったということであろう。このような惨状だったからこそ戦争犯罪である
原爆の実態が秘匿され、その後の核兵器開発が加速度的に行われるようにな
ったのである。
米国においてベトナム戦争と対照的に俗に「良い戦争」と称される第二次
大戦において、民主主義のために戦っているとしながら、民主主義とは程遠
い手段で戦争が遂行されたことを、いまだに米国人は知らない、または知ろ
うとしないことを思い知らされる本である。
筆致は信憑性のある一次資料をもとに書かれ冷静なものであり、上記のよ
うな米国一般市民を啓蒙する意味でも、欧米において本書が速やかに翻訳
出版されることを望む。