反原発の立場にある複数の論客が、
それぞれ異なるバックグラウンドから
震災・原発問題に対する体験や取材・活動に基づいた
分析・提言を行っている書籍です。
佐藤栄佐久氏以外の著作は読んだことが無く、
より多方面から原発問題を捉えるのに有用だと思います。
小出裕章氏:
原子力の専門家の立場で40年以上も原発に反対している方で、
社会的な問題から科学的な問題までかなり網羅されていると
見受けられました。遅ればせながら彼の著作を読もうと思います。
西尾幹二氏:
保守派論客としての印象が強い方ですが、
エネルギー問題をイデオロギーで考えるのではなく、
合理的にクールに考えようと述べています。
右、左に単純化するのは間違いだと思います。
佐藤栄佐久氏:
経産省+東電の原子力政策と闘った前福島県知事が、
その隠蔽体質の問題点と、地方自治からの観点から
原発問題を斬ります。原発マネーで地域が潤うのは
一過性のもので、麻薬患者のように原発に依存してしまうと分析しています。
福島原発の真実 (平凡社新書)を読むと更に理解が深まります。
桜井 勝延氏:
東日本大震災により被災した南相馬市の窮状等を積極的に訴え、
米国タイム誌から、2011年版の「世界で最も影響力のある100人」
に選ばれた市長さんが東電に無作為を批判します。
合併によって生まれた市の中に20km圏内・30km圏内
30km圏外の区域があり、平成の大合併の弊害を知ることができます。
恩田勝亘氏:
原発問題の取材暦が長く詳しい、フリージャーナリストで、
原発建設を断念させることに成功した浪江町の
被災者にふりかかる不条理さを書くところからはじまります。
原発立地自治体・周辺自治体の社会的問題点や
住民意識がわかる内容となっています。
星 亮一氏:
幕末・戊辰戦争などを題材にした歴史小説家で、
お墓に避難すると遺書を書いて自殺された老女の
エピソードを通して国・県の無作為を非難しています。
玄侑宗久氏:
芥川賞受賞経験のある僧侶の方で、政府が主催する
復興構想会議のメンバーです。
氏の雪月花というブログの内容を編集したものです。
福島県三春町在住で、実体験と活動を通した、
ヒューマニズムに溢れる文章です。
浜通りから遠く離れた会津地方も同じ福島でひとくくりにしてしまう
ことに対して、国・県・マスコミを批判しています。
また、保証金のために出荷のあての無い農作物を
作ることを指示する農協に対する批判もされています。