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あまりに長いため、これまで日本には要約や英訳からの重訳のみが紹介されてきたのだが、本書はサンスクリット原典からの貴重な日本語訳、しかも完訳である。文庫としては少々値が張るものの、味わう価値は十二分にあると思う。なぜなら、本書は娯楽作品としてだけではなく、「インド」という摩訶不思議な世界を知るための大きな助けともなる、叡智の結晶であるからだ。
インドの人々が愛して止まない聖なる物語。この世界最大級のファンタジーを是非とも一読して頂きたい。荒唐無稽ともとれるド派手な物語の中にさりげなく語られた、愛・悲しみ・怒り・喜びという豊かな情感を、空想の腕を伸ばしていっぱい汲み取って欲しい・・・この本を読み終えて、そんな想いが私の心に生じた。
『マハーバーラタ』はみずから語っている。「ここに存するものは他にもある。しかし、ここに存しないものは、他のどこにも存しない」と。この物語を知ったなら、この言葉の意味もきっと分かるはず。これは、そんな本なのだ。
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