もうかなりの人が知っている「セレンディピティ」という言葉。その元になったという寓話です。先に別の翻訳版を読んだのですが、科学で使う時の意味に合致するところがよくわからなかったのでこちらも読みました。
「本邦初の《完訳版》」で、「セレンディピティの本質・真実を知るための<必読の書>」と帯にはあります。
お話自体の形も、前者とは随分違っています。こちらは三人の王子様は最初と最後の章にでてくるだけで、間の6つの章は「入れ子」になった「物語の中の物語」。王宮の話なども多く、大人向けの寓話の色合いが濃い感じです。
16世紀半ば、イタリア語で出版されたこの本が、この物語を西洋に初めて紹介したものではあったのでしょう。でも艶っぽい部分もたっぷり入っているこんな本を、「セレンディピティ」を造語したホレイス・ウォルポールはほんとに子供のころ読んだのでしょうか?
本書の解説でも、「アルメーノの本書はオリジナルではない。エピソードを再編したもの」だと言っていますし、このイタリア語からフランス語、英語へと何度も翻訳されて伝わっていったとも書いてあります。ウォルポールが読んだとしても、英語版だったでしょうね。
そのあたり、造語者のウォルポールが読むまでの経緯や造語の使用されるようになった経緯などの分析は解説にとても詳しいです。私のように物語よりもむしろこの言葉に興味がある人に向いていると思います。