定評ある本書を初めて本屋で見たとき、その分厚さに度肝を抜かれ、購入を怯んでしまった。それからしばらくは予備校本で簿記1級の勉強を続けていたが、経営意思決定(管理会計)のところで挫折してしまい、もっと詳しい本を読む必要性を感じて本書を購入した次第である。
読み進めると、予備校本に書かれている内容がさらに詳細に解説されている感じで、大変理解しやすかった。予備校本で表面的、形式的に理解していた内容が、本書を読むことで脳裏に焼き付き、応用のきく形で定着したという感じであった。と言うよりも、そもそも各種予備校本は本書をベースにしてつくられたというのが実態のようである。
著者が冒頭に書かれているように、本書は著者がいかに生きてきたかの証し、というのは本当だなと思う。何度も改定を重ね、数十年前の初版時に書かれた記述と最近書き足された記述とが混在する本文を読んでいると、著者の原価計算に懸けた熱い思いがひしひしと伝わってくる。
また、本書の後半部分では、管理会計、ファイナンス、活動基準原価計算等の最近の話題、それにEVA等の経営分析に関する事項にも触れられており、色あせた印象を抱かせない。原価計算から管理会計、ファイナンス、経営管理へと応用されていくさまが段階を追って解説されており、次のステップへの道案内の役割も本書は果たしている。
製造業に携わる人にはいつかは読んで欲しい本書であるが、まったくの原価計算初学者が読むにはややつらいかもしれない。簿記2級程度の工業簿記を学んでから本書にトライした方がすっきり頭に入ると思う。部分的に見れば、本書をベースに書かれた予備校本の方が初学者にとって分かりやすく、簡潔に記載されている論点もあるからである。