自民党政権末期の七五二日間を厚生労働大臣として務めた舛添要一の回顧録・私戦記である。
政治家の著作にありがちな自慢話は、当然のこととして含まれている。しかしながら、「小泉構造改革路線」により日本社会・社会保障全般が疲弊し政権基盤が流動化した中で、次々と政治課題として浮上する「消えた年金、後期高齢者医療制度、産科たらいまわし、薬害肝炎訴訟、新型インフルエンザ、ハケン切り」等々に対し、安倍・福田・麻生の官邸内部、自民党内の厚生労働族議員、厚生労働官僚、現在は政権にある民主党政治家等々の動向、マスコミの生態、そしてそれらの総和としての「踊る厚生労働行政」を記録したレポートとして価値を持つ一冊です。
戦後そして明治維新後の堆積した政治と行政の負の遺産と「お任せ民主主義」更に「お手軽民主主義」による悪癖が、露になった時期の日本の厚生労働に係る「膿」とその対処がスケッチされる。
本書から希望を読み解くならば、患者・被害者等の当事者が政策形成・提言能力を高める萌芽が描かれている点である。旧来の「告発型被害者運動」に収斂されない、「日本的民主主義」の限界を突破するものとして賞賛したい。
著者の自民党在籍中の雑誌連載稿に加筆した、離党後の出版でありその異同を知ることも一興と思われる。
同時代に厚生労働行政に関心を寄せた方々に、一読をお勧めしたいと思います。