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卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV)
 
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卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV) [新書]

デイヴィッド ベニオフ , 田口 俊樹
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

「ナイフの使い手だった私の祖父は十八歳になるまえにドイツ人をふたり殺している」作家のデイヴィッドは、祖父レフの戦時中の体験を取材していた。ナチス包囲下のレニングラードに暮らしていた十七歳のレフは、軍の大佐の娘の結婚式のために卵の調達を命令された。饒舌な青年兵コーリャを相棒に探索を始めることになるが、飢餓のさなか、一体どこに卵が?逆境に抗って逞しく生きる若者達の友情と冒険を描く、傑作長篇。

登録情報

  • 新書: 469ページ
  • 出版社: 早川書房 (2011/12/5)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4150412480
  • ISBN-13: 978-4150412487
  • 発売日: 2011/12/5
  • 商品の寸法: 15.6 x 10.8 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
舞台はナチに包囲された第2次大戦中のレニングラード。
あの、“スターリングラード攻防戦”です。
平和な時代に生きるボクたちの価値観など
通用しない世界が展開しています。
冒頭からすきっ腹を抱えた主人公たちは戦利品を求めて、
ドイツ人の死体に群がりますが、
そんなのは序の口です。「尊厳」などという言葉は、
絵に描いた餅に過ぎません。
けれど、残酷さを売りにしたり、
ただただ戦争の悲惨さを押し付けてくるような小説とは
ひと味もふた味も違います。
明日をも知れない命だというのに、
主人公は自慰のネタに夢中になったりしますし。
主人公の相棒はその場の空気を全く読まないヤツで、
まるで文学の主人公にでもなったように振る舞います。
こうした、物語全体をおおう「達観」とは違う
しびれたような笑いは、
苛烈な状況を中和するための装置のようにも働いているのですが、
どんな状況でも泣いてばかりでは生きられない、
人間の生々しい“生”を、見事に捉えていると、
ボクは受け止めました。
確かに、このくらい図太くなければ、この時代を生き抜くことは、
できなかったでしょう。
それから、たとえ戦時下でも、社会の構造や
個人のパーソナルっていうヤツは、
増幅されるだけで、変わりはしないんだなあ、って、
ボクは感じました。
とにかく、かつてない読書体験ができる小説です。
ラストは感涙ものです。
ぜひ読んでいただきたい。

【追記】
この小説を読んで
旧ソビエトの近代史に興味をもった方には、
島田荘司の「ロシア幽霊軍艦事件」をお薦めします。
ただのトンデモ小説ではありませんよ、
史実と虚実を緻密に積み重ねて、
見事にオオボラを信じ込ませてくれます。
この小説に対する理解も深まりますよ。
このレビューは参考になりましたか?
7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By bias トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
傑作。読了後、久々に(しばしの余韻のあと)無性に再読したくなった小説。
2010年の新刊時、各誌で絶讃していて読みたかったが、タイミングを逸した。
1年半足らずでの自社文庫化は、時期ともども背景を憶測させるけれど、
一読者としては、ただただ感謝。1000円未満で、圧倒的な充実感。

かくも酸鼻で、野卑で、下劣で、醜悪な場面が、幾度となく現われるのに
(それぞれ該当する箇所の引用すら、ためらいます)、なぜ、これほどまで、
清冽に感じ、心にしみるのか。あるいは、登場人物に共感を覚えるのか……
(最初は主人公のレフに、やがては、相棒のコーリャに)。

翻訳も読みやすく、原題“City of thieves”を、程のいいユーモアをこめた
邦題にしたセンスも、まことに結構。
名のみ高く、晦渋で浅薄な日本語で書かれた一部の“純文学”を読む位なら、
本書を、すみからすみまで耽読したほうがいい。まず、読み物として最高だし、
“文学”の本質、ないし効用(毒にも薬にもなる、という意味で)が、
よっぽど得心できる。そう確信します。

概要とピンポイント的な魅力については、親本のハヤカワ・ミステリや
本文庫の他の方のレビューでたっぷり語られてますので、そちらを。
自分は、しびれた(戦慄した、ではありません)箇所をいくつか挙げます。

――「恐怖を経験すれば、人はより勇敢になれるなどと一般には
信じられているが、そんなことはない。始終恐怖を感じていれば、
恐怖を隠すのが容易になるということはあるかもしれないが。」(p37)
――「この世で一番淋しい音はほかの男女が愛を交わす音だ」(p135)
――「詩人その人は過去形でも、詩のほうは現在形で語れることが
嬉しかった」(p192)
――「母の心の中では、文壇も軍隊とまったく同じように階級制だった
んだ。称号や徽章はなくても階級のあるところだったんだ」(p291)

……以上はもちろん、ほんの一部。
文学と、詩人を含む文学者(集団)への愛情と皮肉も絶妙。

だが、何よりもしびれる場面は、国家に殺された詩人を父にもつ主人公が、
パルチザンの名狙撃手である少女と、初めて親しく話す場面(p354〜357)。
この前後の感銘は、“ミステリ”の範疇を超えている。
また、この場面あってこそ、最終章の、最後の高揚に至る、のでは。
未読の若い読書好きの方、とくに20代前後の男性には、強くオススメします。
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By pst
舞台は第二次大戦下のレニングラード包囲戦で、時期は冬。 包囲戦によって生じた飢餓、しかも時期は過酷な冬である。 なかば濡れ衣のようにきせられた罪を免罪される条件として、卵1ダースを探す道中に繰り広げられる冒険が主なストーリーだが、カニバリズムや虐殺など凄惨なシーンもあるが、一見とんちんかんに感じる免罪の条件、若者たちの軽い下ネタやジョークによって明るさがもたらされ、全体としては心が躍るような冒険ものとなっているのが救いである。 青春もの、冒険ものが好きな方にはぜひおすすめ。
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