そもそもこれ、なぜポケミスに入っているんでしょう?ミステリではぜんぜんないと思うんですが?
ミステリからずっと離れていたので、アマゾンのおすすめに入るまでうっかり見落としていたじゃないですか...
実際には第2次世界大戦中の数日間の冒険を描くビルドゥングスロマンです。スラップスティックな展開ながら、ご都合主義と感じさせることのない無理のないストーリー展開で大変面白く読めます。
老祖父の回想形式のため、最初は17歳の少年の一人称が「わし」であることに違和感を覚えましたが、少年らしい感情の動きが見事に語られているため、すぐに気にならなくなりました。
彼が出会う人物、事件、すべてが鮮やかに生き生きと描かれていながらも、あくまで17歳の多感な少年の目線レベルでの理解を逸脱してまで表現されている箇所は全くありません。その抑制のきいたリアリティが見事だと思います。
そして1942年から現在へつながるラストシーン、まさにビルドゥングスロマンらしい、安直に流れないけれど真に幸福な「めでたしめでたし」まで、本当に飽きずに読みました。
クライム・ノヴェルかスラップスティックミステリと勘違いしている方、ミステリ苦手の方、全然ちがいます!
白水Uブックスをよく読む方、これも必読です。