実は私、時代モノは本当に苦手なんです。
時代背景に不勉強なため、うまく感情移入できなかったり
知らない言葉が多いというのがその理由ですが、
この本は不思議とサクサク読めました。
主人公ののぶの「気のあわない夫と離婚したい」という悩みは
現代に生きる私達にも十分に理解のできるものだし、
食べ物が人の心をつなぐという考え方は今も昔も変わりません。
おひでさんはのぶに言います。
「正太郎さんと一緒に美味しいものを食べる機会を多く持ちなさい。
そうすればきっと輿入れした頃のようにお慕いできるようになりますよ」と。
本当にその通りだと思います。
どんなに美味しい物も一人で食べても味気ないだけ。
大勢で楽しく食べればどんなものでも美味しい。
誰と、どんな風に食べるかってすごく意味のあることなんです。
食べるって実はすごーく生々しい欲望の行為。
その時間を共有するって、
まるで心も魂もからめ合うような究極の触れ合いじゃないでしょうか。
各章にそれぞれ一つずつ、キーになる食べ物が出てくるんだけど
そのチョイスの仕方もうまい。
食と心の触れ合いの融合性、見事なものです!
できればこの家族のこれからも見てみたい。
食べることのパワーはすごいもんで、
食べれば食べるほど2人は何でも言い合える本当の夫婦になっていく。
のぶの気持ちは本当に食によって変化させられるのですが、
最後に読者にはひとつだけ、どうしても心残りが残るんです。
いるべき人がいない・・・だからこのままで終わってほしくない。
椙田家に本当の意味での「家族団らん」が見たい。
この家族の幸せを祈っています。
これをきっかけに宇江佐さんの時代ものの本をもっと読んでみたいです。